第20回WECローマ大会の印象(メモ)
参議院議員
加納 時男
1 全般的印象
WECはこれまで、米・欧の化石燃料マーケットの会議で、環境問題や原子力は余り話題にならなかった。今回は、「世界」の「エネルギー」の会議。開催地が、欧州から参加しやすく、またオプショナルツアーも魅力的なイタリアのローマであったことにもより、会議参加者は4千人を超えた。
純民間の会議であったが、日本動力協会宮原会長と在イタリア日本国大使館中村大使の共催による日本レセプションが、日本大使公邸で開かれた。250名を超える招待客が満足。これは初めてのケースだが、今度、公邸の活用が望まれる。
大会プログラムの中に、閣僚のラウンドテーブル(RT)もあった。主要国閣僚は直前まで予定が組めなかったものの、当日はアメリカ(ボトマンDOE長官)、ロシア(フリステンコ露産業エネ大臣)なども参加。今後、日本の閣僚も出席することが有益。
2.基調講演、特別講演
2.1 バローゾEC委員長
エネルギーは 経済問題だが、そればかりではない。今や環境、暮らし、安全保障の問題だ。
石油はこれからも十分に対応できる。
2.2 イメルトGE会長
再近、再生エネルギーや天然ガスに傾斜している人が見られるが、これは誤りだ。問題を解決できる実力があるのは、原子力と石炭。これ無しには、中国も印度も成長出来ない。
石炭では、IGCCとCCSが重要。これらは、技術が問題ではない。コストが問題だ。
2.3 ローベルジョンAREVA会長
原子力は将来のエネルギー選択に不可欠。なぜなら (1)低炭素 (2)価格競争力大 (3)発電コストに占めるウラン燃料のウエイトが小――燃料価格変動に強い。
フランスは、原子力のお陰で、クエートの年間生産量に見合う量の石油輸入を削減できている。
欧州は、イデオロギーでなくプラグマテイズムに基づき、原子力に回帰することが必要だ。
3.RT4における加納時男の発言(質問に答えて)
このRTの直前に発表されたIEAのWEOで印象的だったのは、Asian Giants中国とインドの急成長。最近5年間の世界の増分に占める両国のウエイトを見ると、GDPで4割、一次エネルギーで5割、二酸化炭素で6割、石炭で8割も占める。
資源需給のバランス、エネルギーの安全保障、気候変動の緩和、この3つの課題のソリューションは「炭素離れ」De-carbonization。政策は4つ。
- エネルギー効率の改善。G8ではこれが課題解決のために 最も早く、最も安く、最も持続的な方策だ と宣言。GDP当りエネルギーで見ると日本は世界一効率的。「日本モデルが地球を救う」と言う趣旨をパチャウリIPCC議長も書いている。
- 再生可能エネルギーの利用。大気熱ヒートポンプは膨大なポテンシャル有り。食料・飼料と競合しないセルロース系のバイオも有力。
- 化石燃料のクリーンかつ効率的な利用。天然ガスではACCやMACC利用。石炭のIGCC、CCSに実用化。
- 原子力の平和・安全な活用。
4.識者との個別会談
WEC会議の合間に識者と懇談した。
4.1 アルフオンソ・ジャンニ 伊 下院議員(経済振興省政務次官、共産主義再建党)
伊は化石から再生エネルギーへとシフトに努めている。地形上風力設置は難しく、また景観を損なう。バイオは農業に問題。故に太陽光を目指す。が、パネルの生産も設置もドイツに比べて大きく後れている。
伊のエネルギー自給率は低くこれが問題。85%を輸入に頼っており、特にガスはアルジェリアとロシアに依存。
原子力はチェルノブイリ事故があり、国民投票で廃止を決めた。再開は無いと考える。
(エネルの発表した調査報告書に 原子力を再利用すべきとあるが との問いに)議論しようということ。議論は良いが原子力復活は難しい。
(伊は現にフランスから原子力の電気を沢山輸入している。矛盾しないか?ENELは他国の原子力開発に協力しているのでは との問いに対して)
原子力をやるかどうかは各国の判断。伊が輸入する電気は何で作るかは関係ない。ENELの原子力協力はこれを排除しない。
4.2 アレッサンドロ・オルテイス電力・ガス規制長官
チェルノブイリ事故により、非常に感情的に原子力を止めたのは不幸だ。EU主要国で唯一原子力無しの国になってしまった。大きな誤りだ。
伊の国民性は犠牲の無い美しさが好き。原子力はNOと答える。恐怖心がまだ残っている。加えてHLWどころかLLWですら処分場が決まっていない。
伊のエネルギー事情は悪い。85%輸入依存。高コストで脆弱。個人的には原子力をやるべきと考えている。方法は2つ。1つは第3世代の原子炉に戻ってこれを建設する事。2つは第4世代の原子炉のR&Dに参加すること。GNEPには参加したい。
4.3 その他
田中伸男IEA事務局長、ウイリアム・ラムゼー次長、ルイス・エチャバリOECD/NEA事務局長、クリスチャン・バタイユ仏国民議会議員(社会党)、クロード・ガチニョール仏国民議会議員(国民運動連合)等 と個別に懇談(略)
以 上
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