168-参-経済産業委員会-2号 2007年10月23日 ○委員長(渡辺秀央君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言をお願いします。 ○加納時男君 初めに、資源外交とその課題についてお伺いをしたいと思います。  近年、資源ナショナリズムは極めて高まってきております。例えば、資源国、中東で見ますと、サウジア ラムコでありますとかADNOCといった会社はすべて一〇〇%国有であります。南米におきましても、 チャベス大統領によりましてベネズエラが外国資本を一〇〇%国有化し、これにボリビアやエクアドルが 続いております。ロシアでは、ウクライナやベラルーシに対する天然ガスの供給を制約するという条件を出 して政治的取引にすると同時に、また、我が国に関係のありますサハリン2におきましては、これまでロシ ア以外の、日本を含めて、企業の努力で開発してきたものができ上がったところでガスプロムというロシア の一〇〇%国有の会社でこれを支配する、五〇%プラス一株、一株というものを取得するということになっ たことは御存じのとおりであります。また、中国におきましても、国営の石油、石油天然ガス企業等が中東 そしてアフリカにおいて資源開発に積極的に乗り出しております。このように、上流部門に対する各国のプ レゼンスは、俗に我々、NOC、ナショナル・オイル・カンパニーと言っていますが、国策、国営会社が約八 〇%の井戸元を占めているという現状であります。  我が国は、もちろん民間企業を中心にエネルギー政策を実行してきております。しかし、これで相手が、 国が前面に出ているときに企業だけで十分であろうかという問題意識から、自民党のエネルギー総合戦 略合同部会、これ非常に大きな会議でございますが、これ甘利大臣が当時座長をしておられました、野田 毅さんが資源分科会長をなさっていたんですが、そこでは資源外交の強化を大きなテーマに掲げたところ でございます。甘利大臣は、そこの座長から今度は政府の方の大臣に就任された後、この自民党の提言 を正にこの一年有余の間、精力的に実践してこられたと思っています。  これは相手国のニーズにこたえた交渉であるとか、あるいは経済界を一緒に、総理、経済産業大臣始 め経済界を同行して首脳外交を展開するとか、我々よく三Jとか四Jとか言っていますJの付くもの、 JBIC、JICA、ジェトロ、最近はJOGMECというのもそこに加える人もいますが、それにジャパニーズエン バシーというと五Jになるんでしょうか、こういった政府あるいは政府関係機関、こういったものも帯同しまし て、そして相手方と交渉する。そのときに貿易保険、NEXIと言っていますが、これも有効に活用する。  こういったことが成果を上げたのが、最近でいいますと、サウジアラビアとの石油の安定確保に関する協 議であるとか、あるいはアジア産油国の第二回ラウンドテーブルを大臣が主催されたこと、サウジの大臣 と一緒に主催されたこと、あるいは先月でございますけれども、アラブ首長国連合のアブダビ首長国、ここ は日本にとっては第二の石油輸入国でありますけれども、こういった大変重要な国におきまして、そこの 一〇〇%国営の会社が日本のコスモ石油の株を取得するという大変な強いきずなをつくることができまし た。この中東を始めとして世界各地との石油天然ガスでのきずな、これに加えて、御案内のカザフスタン の交渉も非常に大きかったと思います。ウランの価格が急激に上がったことは昨日の夜のNHKでも盛ん に特集しておりましたが、このウラン資源の開発についても大変に大きなステップを踏むことができまし た。  大臣に質問したいと思います。  これらを自民党において提案をされ、そして今度は大臣として実践してこられた中で、どのような所感を 持っておられるでしょうか。今後の我が国の、この資源の乏しい我が国のエネルギーセキュリティーに関す る資源外交の位置付け、その対応、そしてまた資源外交について我々は政府に司令塔のような機能が必 要だということも提言してきたつもりでありますが、こんなことについてお考えを伺えたらと思います。 ○国務大臣(甘利明君) オイルショックがありまして、その後には何が何でも政府が前へ出て石油の調達をしなければと、時に土 下座外交とやゆされたこともありましたけれども、政府が前へ出てかなり取組を進めました。しかし、その 後、市況が安定をしまして原油価格が随分と低迷をする時期がありました。そうしますと、石油というのは 市場で民間ベースで調達をすればいいと、どこにでも市場は開けているんだからというような話になって、 石油公団の解体がその後になされるわけであります。  しかしながら、かねてから我々が主張してきましたとおり、石油というのは再生産が可能なものではあり ませんし、戦略物資であるという警告を発してきたつもりでありますけれども、それが見事に当たってしまっ たわけでありまして、最近は石油を始めとする資源の資源国による囲い込みであるとか、あるいは資源の 国家管理が随分進んでしまうようになりました。そうしますと、民間任せではなかなか思うに任せない事態 がやってくる。民間が交渉していて話合いが付いたものに更に政府が話に加わって、また成約した話が実 はほごにされてしまうというような危険性が多分に出てきたわけであります。  そこで、やはり資源外交というのは民間に任せるだけではいけなくて、政府がきっちりと前に出て行く必 要があると。そのためには前に出て行く理屈をつくらなければいけないわけでありまして、JOGMECによ る出資比率を引き上げたりとか、あるいは貿易保険に資源開発の新たなニーズに対応するような対処を させたり等々、政府がそれに、話合いに加わっていく手だてをつくったわけであります。  そういう、資源国にとっては民間だけでなかなか本当に信用ができるんだろうかと。その国の政府が後ろ 盾にちゃんと付いているということが間接的にも分かれば随分と信頼関係が増すということになったわけで ありますから、その手だてを講じたわけであります。あわせて、担当大臣や首脳が資源外交の先頭に立つ ということが更にその信頼性を高めるし、資源調達を安定的にするという効果もあるわけであります。  そして、FTA、EPA交渉の中に資源チャプターを入れていくということで、どれくらいその拘束力があるん だという議論は一方でありますけれども、少なくとも資源調達について一項目、FTAの中に立てるというこ とも極めて効果的だというふうに思っております。首脳が、そして担当大臣が先頭に立って民間の資源調 達をしっかりと補完をしていくと、この体制を取っていくことがこれからも肝要かと思っております。 ○加納時男君 ありがとうございました。  大臣は正に有言実行、提言したことを自分がそのポストに就いて実行してこられたので、今のお話も非 常に迫力があります。私、非常に今のお話を伺って印象深く思いますのは、例えばカザフスタンでございま すけれども、ここではマシモフ首相とバイの会談をなさっておられます。これをきっかけとして、日本の商 社、電力、様々な民間のプレーヤーが二十四の協定を大臣が見ている目の前でサインをしたというのは 私は画期的なことで、カザフスタンというのは日本にとっては余りなじみがないかも、エネルギーではなじみ がないかもしれませんけれども、実は世界のウランの埋まっている国ナンバーワンはオーストラリア、ナン バーツーがカザフスタンなわけであります。そのカザフスタンと日本はこれまでわずか一%しか取引がな かったわけですから、今回のこの、二十四のひとみじゃないんですけれども、二十四の協定は大変に光り 輝くものだと思って、甘利大臣の名前は末永く記憶されるだろうと思っているところであります。  同じようにしてサウジアラビア、世界最大の産油国でありますけれども、これはアブドラ国王、スルタン皇 太子、そしてナイミ石油大臣と甘利大臣はバイの会談をなさいました。そして、サウジの望んでいること は、ただある石油を売ればいいというだけじゃないんです。彼らは、何としても、ポスト石油をにらんで新し い産業を興したい、今ある石油も安定供給を図りたい、そのためにはいろいろきめ細かな方策も日本の 知恵をかりてやっていきたい、様々なニーズがあります。科学技術を振興したい、こういったこと、相手の ニーズをよく聞きながら対談をしたからこそ、ここで甘利大臣とナイミ石油大臣が共同主催で第二回のラ ウンドテーブルが、産消国のラウンドテーブルという、これまた画期的なことだったと思って高く評価してい るところでございます。御苦労さまでございました。  まだ若干時間ございますので質問を続けさせていただきたいと思いますが、第二の質問でございます が、今のに関連しまして、さっき大臣がおっしゃった、石油危機のときに、二回の石油危機で日本は大変 な努力をした、正にそうだったんですが、石油需給が緩んだ時期がしばらくございました。石油が安過ぎる ような時代がございました。そのときに、石油公団というのは無駄ではないか、あれは金食い虫である、国 民の税金を突っ込んでこんな無駄なものをやって、しかも経営がずさんであると。赤字の会社に融資して、 それがつぶれたならばごめんなさいで何の責任も追及されない、こんないい加減なものでいいのかという 批判がこの経済産業委員会でもございました。私もよく記憶しております。  そういうこともありまして、石油公団を廃止しようという世論になりまして、公団が解体をしました。民間主 体でやっていくんだ、石油も天然ガスも開発は民間が主体でやっていって、政府がサポートするんだと。こ の考え方は私は間違っていないと思うんです。民間が主体でやる、政府がサポートをする。じゃ、本当にそ んなような民間ができているのか、そんなようなサポート体制が十分なのかということを質問したいと思い ます。  今、日本でこういう石油や天然ガスを開発する最大の主体、石油公団の後は、長い名前ですけど、JOG MECというものになっています。これは開発の主体というよりもサポート体でございます。民間団体で、民 間の企業で一番大きなものというのは、長い名前なんですけど、国際石油開発帝石ホールディングス、 ちょっと覚えにくいんですけど非常に長い名前で、これは我々通称INPEXと言っております。INPEXが一 番大きいわけであります。  では、これは外国と比べてどのくらいの規模のものであろうかといいますと、実は、スーパーメジャーと 我々言っておりますエクソン・モービルですとか、ロイヤル・ダッチ・シェルだとか、BP、こういったものに比 べますと、大体取得している権益は十分の一であります。それから、準メジャーと言っておりますトタールで ございます、フランスですけど、トタール、これに比べても五分の一でございます。非常に規模が小さい。こ れでメジャーズと堂々と競争していけるんだろうかというのは非常に不安でございます。  我々は何とかこの日本の、日の丸メジャーとは言いませんけれど、プレーヤーを、国際競争力のある、 イチローとか松井のようにメジャーリーグで戦えるような、そんなような石油メジャーを日本はつくりたいと 思っているんですけど、大臣のお考えを伺いたいと思います。 ○国務大臣(甘利明君) 石油公団を解体をしましたときに、和製メジャーという話がありました。いつの日かメジャークラスの石油開 発会社を日本にもという夢を見たわけでありますが、現状は御指摘のとおり、規模でいって十分の一、 スーパーメジャーの利益額にも取扱量が、売上げが該当しないというぐらいの規模の差があるわけであり ます。  我々も、引き続き規模を拡大していくための措置がとられるということは期待をしておるわけであります。 民間企業がやることでありますから、彼らの主体性に任せるしかないんでありますけれども、そういう期待 をする一方で、その十分の一の体力を補うような手だてを講じていかなければならないというふうに思って おります。  いずれにいたしましても、日本の上流開発企業も欧米のメジャーに伍していける日がいつか来ることを 願っているところであります。 ○加納時男君 是非とも、これは我々の悲願でございますので、大臣にも引き続き御努力いただけたら有り難いと思って おります。  では、このエネルギー関係の石油を終わりまして、もう一つのエネルギーの問題、原子力の問題を取り 上げてみたいと思います。  午前中も同僚委員から触れられました新潟県中越沖地震による原子力設備の被災でございます。これ は、七月十六日に発生しました、かつてない激甚な直下型の地震に見舞われたケースでございます。  私もこの地震の直後に現地に入りました。そしてまた、自民党としましても、電源立地原子力等調査会の 幹部による現地視察というのもその後行いまして、また県知事、市長等ともいろいろ懇談をしてまいりまし た。  その印象をちょっと申し上げて質問に入りたいと思いますが、私どもの見た印象では、かつてない激甚な 震災に見舞われた、地震に見舞われた、それがまた発電所に及んだということで、普通のクラス、B、Cク ラスと言っていますが、A、B、C、スペシャルAというのがあって、SA、A、B、Cと重要度に応じて設備のラ ンク、土壌のランクを付けておりますけれども、B、Cクラスの耐震基準、そういった基準での設備には、つ まり、普通の建物の建築基準によって造ったようなものは大きな被害を受けたというのが第一の印象であ ります。  しかしながら、第二に、原子炉安全上大変重要な、最も重要な原子炉圧力容器、そして炉心、安全シス テム等は健全性が保持されたようでありますというのが我々の第二の印象でありました。中でも大事なこ とは、原子炉の安全というのは、止める、冷やす、閉じ込める、放射能を閉じ込めるという意味ですが、こ ういった機能を原子炉について我々求めていますけれども、こういった基本的な安全機能は担保されたと いうことが我々の第二の印象でありました。これは、その後、現地を見ましたIAEAも確認をしているところ であります。  しかし、第三に、いろいろ課題があるなというのが私どもの意見でございます。特に今回のように、地震 でありますので、いろんな設備が同時に被害を受けています。Cクラスのところにあります所内用の変圧器 というのは屋外にあるんですけど、これ、原子力の、原子炉とは直接つながっていないところなんですけ ど、それで油が漏れて黒煙が出て、二時間にわたってこれがテレビで放映されたというようなことを見ます と、これ何か不気味である。そして、その晩でありますけれども、ごく微量とはいえ放射能が検出された、 それが海にも出たというようなことになりますと、これはもう非常に不安になります。  こういったようなたくさんの情報を、正しくといいますか、正確に客観的に整理した情報連絡が十分だった かという点について、私どもが見た感じでは、そこに非常に問題があったんじゃないだろうか。  それからまた、メディアでございますけれども、一部の事実が強調された。例えば、黒煙もくもくとか消火 栓の水ぽとぽとと誠にうまい見出し付けるんですね。でも、それだけ見ていると何か怖くなっちゃいます。セ リエA来日をキャンセル、おののく観光界なんてくると、もう日本じゅうが全部放射能で汚染されたように なって大変だっていうんで、外国からもいろんな問い合わせが来まして、日本は放射能、いわゆる事故が 起こったのかとか、チェルノブイリみたいになっちゃったのかとか、大変な問い合わせがあったのも事実。 私のところにも、まさかとは思うけど、何か大変なことが起こったように報じているけど本当はどうだという のがありました。  こんなような、これ、間違っていないんですね。変圧器から黒煙もくもく、確かに煙出ている。放射能がご く微量、本当に十億分の一ぐらいの、自然界に比べて、わずかな量ですけど、出たか出ないかといったら 出た。それが原子炉の一番肝心な、漏らさないというところから出たのかというと、それ以外のところ、 例えばプール水があふれてそれが隣の配管の隙間から外に出たと、これだけの話で、健康には全く関係 ないんですけど、何よりも大事な、地震によって被害を受けて原子力発電所は止まっています。これが 一つ。二つ、細かなトラブルは起こっています。しかし三番目、原子炉は安全です、放射能影響はありませ んと言い切って、避難する必要は全くありません、こんなような非常に大事な情報というものがうまく伝わら なかったというのは残念に思っています。  一部の事実を強調する余り、全体の真実が見失われたんじゃないかということが危惧するところでありま して、これは新聞にも私が書かせていただいたところでございます。こういったことが大きな誤解と混乱を もたらしたと思っています。  そこで、これは原子力安全・保安院の方に質問したいと思いますが、私どもはこれらを見てすぐに役所 の方にも申し入れたんですが、炉内構造物の細密点検、この結果は今どうなってどこまで分かっているの か、これをやってほしいと言っていますけれども、事実やっておられる、やるという、点検は電力会社がや るわけですけど、それを監督しておられると思いますけれども。  まず第一の質問は、炉内構造物の細密点検はどの辺まで進んでいるでしょうか。 ○政府参考人(薦田康久君) 御説明いたします。  柏崎刈羽原子力発電所の原子炉の中の点検につきましては、まず八月二十一日から、地震時に燃料 を装荷しておりませんでした一号機において他号機に先行して実施しておるところでございます。  一号機におけます点検におきましては、九月二十七日にこの原子炉外に仮置きをしておりました気水分 離器の仮置き用の脚に変形が見られましたけれども、これを除きまして、これまでのところ炉内構造物に おける目立った損傷は確認をされておりません。  また、この十月九日からは、地震によりまして緊急停止をしました原子炉でございます七号機の炉内点 検を実施しているところでございます。  七号機の炉内点検におきましては、燃料そして制御棒の配置状況を上部から確認をしたところ、異常は 確認されておりません。現在は、炉内から燃料及び制御棒を取り出す作業を行っていると、こういう状況で ございます。  七号機では、十月十八日に制御棒のうちの一本が挿入した状態から引き抜けないという現象が生じて おります。また、二十一日には、原子炉建屋内の管理区域内でございますけれども、放射性物質を含む 水が壁面からわずかでございますけれども漏えいしているという事象が確認をされて、原因につきまして 調査が行われていると、こういうところでございます。  保安院といたしましては、この炉内の状況については事業者に対しましてより慎重に点検するように指 示をしております。また、保安検査官がその作業状況を確認をしているというところでございます。  今後、事業者によります他号機の点検状況につきましても厳格に確認をしてまいりたいと、かように考え ているところでございます。 ○加納時男君 今の薦田院長の説明について少し、もうちょっと聞きたいと、伺いたいと思います。  今のお話の中で、一号炉、それから続いて七号炉というお話がありました。七号炉では今おっしゃったよ うに、先週十月の十八日にトラブルが発生、確認できたということで、それは燃料をプールに移した後、制 御棒を引き抜いていくわけですけれども、制御棒の一本が引き抜けなかったということでありますが、今の お話でそういうことでございますが、これは一体何が起こったのか。  一番私どもがというか国民として知りたいのは、これは危ないことであったのか。つまり原子炉安全にか かわるようなものであったのかそうでなかったのかが一番気になるところであります。  この制御棒は、御案内のとおり緊急時にはスクラムといって一斉に、これは六号機、七号機は改良型の 制御棒駆動装置、FMCRDというやつですが、ファイン・モーション・コントロール・ロッド・ドライブと言ってい るんですけど、緊急時に水圧でスクラムを掛ける。一気に制御棒を炉心に、燃料棒の間に入れまして反応 を止めてしまう。だから、スクラムに支障があるかどうかが一番心配なところであります。これはスクラムと 関係あるのかないのか。我々の理解では、ここのところは、六号機、七号機は最新鋭のシステムを使って おりまして、水圧だけではない、電動駆動もあります。だからファイン・モーションと言うんでしょうけれども、 電動駆動というのはモーターによりまして、ここにあります中空ピストンというのがあるんですけど、そこに 制御棒がくっ付いているんですけど、その中空ピストンを上げるのに、下にあるボールナットをねじで上の 方へ上げていってそれで持ち上げて、下ろすときは自重で下りてくると、こういうスタイルだと思います。今 回、自重で下りなかったというのが起こったんだろうと思うんですけど、これは制御棒の微妙な制御をする のには必要だけれども、スクラムのときには使わないものなのかどうか、これが一番のこの問題のポイン トだと思いますから、そこのところを御説明いただきたいと思います。 ○政府参考人(薦田康久君) お答えいたします。  現在、今議員から御指摘のございましたように、この七号機におきましては、ちょうど燃料集合体、これ は約九百弱あるわけでございますが、これを使用済燃料に移しまして、順次制御棒、これは全部で二百五 本あるわけでございまして、これを引き抜く作業を行っていたところでございます。  ちょうど先週十八日に百本余りの制御棒を引き抜いたときに、一本の制御棒を引き抜くことができないと いうことが生じたということでございます。ただ、この中越沖地震の際には、この七号機を含みますすべて の現地のプラントにおきまして、この制御棒が安全に挿入されており、止める、冷やす、閉じこめるという 安全機能は維持されたということは確認されているところでございます。  七号機について申し上げれば、先ほど先生からお話がございましたこの水圧駆動系と、そしてもう一つ はこのモーターの方がございますが、この水圧駆動系によりまして、設計よりも短い時間で全数挿入され ているということがここで確認されているところでございます。  今回の事象は、今申し上げましたように、制御棒が安全に挿入されたわけでございまして、原子炉が緊 急停止した後、制御棒のうちの一本が挿入した状態から引き抜けないというものでございまして、本事象 が直ちに原子炉の安全性に影響を与えるものというものでは全くございません。  ただ、原子力安全・保安院といたしましては、今後、当該制御棒及び駆動部につきまして詳細な点検を 行いまして、徹底的に原因を確認をしていきたいと、このように考えておるところでございます。 ○加納時男君 ということは、我々が一番心配しております原子炉の安全を守るために、例えば異常な反応が起こってい るといったときには直ちに制御棒を炉心に挿入しましてあっという間にこれを反応を止めてしまう、これスク ラムと言っていますけれども、このスクラムが掛からないということは非常に危険なんですね。  今回、スクラムに関係のない、関係があるかないか、スクラムに対して支障を及ぼすものではない、現に これはスクラムが掛かった後、電動で今度は下ろしてこようと思ったらうまく下りてこない。つまり、制御棒 を下ろすということは反応はする、原子炉として反応を始めようとするのに支障があるだけであって安全に は関係ないというふうに理解していいのか、これ非常に大事なところなんで、是非この場で明確に言ってい ただきたいと思います。 ○政府参考人(薦田康久君) 今先生から御指摘がございましたように、今回のこの引き抜けないという事象は、原子炉を緊急停止をす るという機能とは違ったものでございまして、そういう点で原子炉は安全に緊急停止をしたものと考えてお るところでございます。  ただ、今度はモーターで徐々に下ろす際にどうも引き抜けないという状況があるわけでございますけれど も、これにつきましてはまだ原因ははっきりしておりませんので、これについては調査をしていきたいと考え ております。 ○加納時男君 では、引き続き調査をしていただきたいと思います。  私どもは現地調査をしていろんなことを党としても政府に対して要求をしております。政府の方も、これは 全部やるという約束になっておりますが、二、三、その後の進行状況を伺いたいと思います。  例えば、陸域、海域の活断層調査、つまり活断層が今まで調べていたものでは不十分だったかもしれな い、あるいは新しい知見があればこれを生かして調べてもらいたいというので、陸域と海の方、海域と両方 で活断層の調査をしてもらいたい。政府もこれやるつもりですという話だったんですね。それがどこまでい っているのか。  また、去年の秋ですけれども、耐震設計基準を更新しました。この新しい耐震設計基準によって、我々 の言葉ではバックチェックと言っていますが、今まで良かったものでももう一回さかのぼって安全かどうか を調べてほしいということをやる必要がある。政府もやるという方針だと、こういうことでありましたけど、 バックチェックはどういうふうに進んでいるのか。  それからまた、今回のこの柏崎刈羽発電所で受けたようなこんなようなかつてない地震を受けたこの知 見を逆に生かしたい。この今回の地震がほかの原子力発電所でこの大きさでこの加速度で受けた場合に 大丈夫ですかという耐震度を調べてほしいというのもありました。  これらについて、今日現在の進行状況を伺いたいと思います。 ○政府参考人(薦田康久君) まず、海洋及び陸域調査の点でございます。  この今回の地震を踏まえまして、東京電力では柏崎周辺の海域そして陸域の地質調査ということを実施 しているわけでございます。  海域につきましては、この海上音波探査というものを海岸線と平行方向に約百四十キロ、そして海岸か ら沖合方向に五十キロの範囲内で、今年の八月二十七日からこの十月末までの予定で実施するというこ とになっておるところでございます。  また、陸域につきましても反射法地震探査というものや、あるいは地表地質踏査等を発電所周辺地域、 これは敷地から半径約三十キロの範囲でございますけれども、に、かつこの長岡平野西縁断層帯を加え た範囲で今年の九月二十日から平成二十年三月末までの予定で実施をするということになっているところ でございます。当省といたしましては、この調査、これをしっかりと確認をしていくと、こういうことになってい るわけでございます。  次に、この新しい審査指針に基づきます、耐震設計審査指針に基づきます原子力発電所の耐震安全性 調査、バックチェックの状況について御説明をいたします。  これは昨年九月に原子力安全委員会の方で改訂されました新耐震設計審査指針の下で既存の原子力 発電所の耐震安全性の再評価を行おうというものでございます。  ただ、今回の地震を踏まえまして、大臣の方から現在の評価の進捗状況を勘案し、確実に、しかし可能 な限り早期に評価を完了できるように実施計画の見直しについて検討を行うよう要請をしたところでござい まして、これを受けましてこの八月二十日の日に各電気事業者の方から計画の見直しが報告されており ます。  これによりますと、本年度中に各社地質調査と、それから設計の際に用います基準地震動の策定をお おむね終了いたしまして、各発電所サイト、一プラントを対象に主要設備につきまして耐震安全性の評価 を行いまして、中間報告を提出をすると。年度内に一サイト、一つのプラントについてその耐震安全性の エッセンスにつきまして中間報告を提出するということを伺っているところでございます。当方といたしまし ても、この結果につきましては厳正にチェックをしていきたいと、かように考えておるところでございます。  また、今回の地震を踏まえまして各社どういうことをしているかということでございますけれども、まず、こ の今回の地震につきましては、新しく得られる知見というものを整理して今後各発電所に反映していくとい うことが必要であるわけでございまして、現在当方に委員会を設置いたしまして、専門家にお諮りをしなが らこの検討を行っていると、こういうところでございます。  なお、九月二十日の日に電気事業者の自主的な取組といたしまして、柏崎原子力発電所で観測されま した地震動と同じ地震動が他の発電所で生じた場合についての影響につきまして報告がなされておりま す。具体的には柏崎の発電所で観測されました一階面の基盤のガル数、六百八十ガルだったと思います が、そういうものでほかの発電所を揺らして大丈夫かと。先ほど委員からお話ございました原子力発電所 の大事な、止める、冷やす、閉じ込めるという機能が大丈夫かということにつきまして検討がなされ、報告 がされておるところでございます。  いずれにしましても、原子力発電所の耐震の評価につきましては、我々といたしましても厳正に評価を 行ってまいりたいと、かように考えているところでございます。 ○加納時男君 そういう方向でこれからも調査を引き続き進めていただきたいと思っています。  今回の教訓の一つとして、時間外に発生する異常な事象に対する情報連絡体制というのがあると自民 党では考えたわけであります。よく、様々なトラブルが起こると、それが通常勤務時間帯、まあ八時半から 五時とか、九時から六時とかいった通常時間帯じゃない時間によく起こるねと、意地が悪いねと、よく関係 者の方がおっしゃるんですが、これ、考えたら当たり前だと思うんです。一年間の時間数八千七百六十時 間といたします、うるう年ありますから。八千七百六十時間。そのうちいわゆる時間外ってどのくらいある のか。ふだんの日の、例えば六時以降ですと翌日の朝の八時半とか九時まで、それから土日。日本は世 界じゅうでもめったやたら国民の祝日が多いとてもおめでたい国で、祝日がやたら多いんですね。私、この 間計算してみたら、それで計算すると時間外と言っているのは六千八百時間あります。だから、八千七百 六十時間のうちの六千八百時間というのは、割り算すると目の子で七八%ぐらいになるんですから、約四 分の三は時間外。だから、何か地震が起こる、飛行機が落っこちるというのはちょっとやめますが、地震 が起きるとかトラブル、発電所のトラブルが起こるのはなぜか時間外だ、だから慌てたというんですが、当 たり前なんで、八割近くは時間外に起きる。  ならば、その対策としていろんな情報訓練、初期段階で人がぱっと出てくる、こういう連絡体制というのは 時間外を頭に置いて、例えば避難訓練とかいろんなのがありますけれども、大体こういう訓練は平常の時 間中にやるわけですね。これじゃ駄目だと。時間外に抜き打ちでやるのが連絡体制としての訓練としては 大事だなということは見たときに感じたわけでございますが、これについて、時間外のこのトラブル対策、 情報連絡体制、当然怠りなくやっているとは思いますけれども、原子力安全・保安院の院長の考え方を伺 いたいと思います。 ○政府参考人(薦田康久君) 今委員から御指摘ございましたように、休みの日であるとか深夜であるとか、こういうときにおけます情報 連絡体制というのは極めて重要でございまして、このため、この地震直後の七月二十日の日に経済産業 大臣の方から各事業者に対しまして、こういう場合も含めた迅速かつ厳格な事故報告体制の構築につい て指示があったわけでございまして、国も含めまして、現在、これどういうふうにあるべきかということにつ きまして、この中越沖地震に関する調査・対策委員会におきまして検討しているところでございます。  ただ、保安院といたしましては、こういう検討を踏まえて対策をしていくことは当然でございますけれども、 それ以前につきましても、最近ではいつ何があっても対応できるように、例えば時間外で緊急事態の発生 をうちの職員に対して予告なくその訓練を行う、こういうことも今行っております。  また、地震時に、現地にオフサイトセンターがございますけれども、こういうものを活用してどのように実 際に自治体に情報提供を行うかといったようなことも訓練をしているところでございまして、今後こういうよ うな訓練を通じまして的確な情報連絡、あるいは提供体制をつくっていきたいと、かように考えているところ でございます。 ○加納時男君 どうも薦田院長、御苦労さまでした。そういう方向で是非やっていただきたいと思います。  以上の議論を踏まえまして、大臣、大臣のお考え、所感を伺えたらと思います。この原子力の重要性は 大臣、常におっしゃっていますから。同時に、これは安全でなければならない。今回は電力は加害者じゃな くて正に被害者だったかと思いますけれども、対応いかんによってはこれは加害者とも受け取られかねな いようなことに発展しかねないこともあると思います。様々なことを含めてこの原子力の安全、地震対策に 関する大臣の所感を伺って、終わりたいと思います。 ○国務大臣(甘利明君) 原子力はエネルギーセキュリティーとそれから地球温暖化防止に貢献できる極めて大事な電源でありま す。ただし、その推進には安全、そして更に加えて安心の絶対的構築が前提条件であります。  今回の中越沖地震で学ぶことがたくさんありました。  まず安全面でいいまして、想定し得る最大級の地震が襲ったときになお対応できるのかどうかということ が一つであります。これは新耐震指針に基づくバックチェックも含め、あるいは今回の中越沖と同じ規模 のものがほぼ、直下型と言われていますが、他地域でも同様な条件の下に起きたときに基本的機能は守 られているのか、まずこれをチェックしましたが、先ほど来お話にありますように、止める、冷やす、閉じ込 める、この基本機能のそれぞれの三倍から八倍の余力があるということが分かりました。つまり、中越沖 地震が他のところで起きてもその三倍から八倍の対応し得る耐震機能を持っているということであります。 これは安全のその三原則に対してであります。  加えまして、本体の建屋等々の耐震構造の確認を図っているわけでありますが、まず、陸上の活断層の 調査、それから海上調査、併せて漏れがないかを今チェックをしております。で、それを見越して既に各電 力会社では各電源立地地点の補強工事を行っているわけであります。中部電力浜岡原発では千ガルに も対応し得るというような今補強工事をしているところでございます。これでまず耐震安全を図っていく。  それから、柏崎刈羽の反省からいえば、本体が大丈夫であろうとも、例えば火災が起きたときの消火施 設が実は建築基準法に準ずる程度のところの強度で設置されていたと。これ、その地震が起きたときに 発生する火災への対応もやっぱりその地震に耐え得るだけの構造を持っていなければならない、そういう 点。  それから、情報伝達の点であります。それから、安全に加えて、安心を培うためには正確な情報が瞬時 に届くということ。これは、政府としても数学者にしか分からないような数式を用いて知らせるんではなくて、 日常生活に対してどのくらいの影響があるかということを分かりやすく伝達する必要がある。もろもろ反省 点をしっかり踏まえて、安全と安心を培っていきたいと思っております。 ○加納時男君 ありがとうございました。  私の質問はここまでにしまして、後は松村理事にバトンタッチしたいと思います。ありがとうございます。 以上