| 経済産業委員会 議事録
経済産業委員会 議事録
(国会会議録より関係箇所抜粋)
平成十九年四月十九日(木曜日)
午前十時開会
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○委員長(伊達忠一君)
経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査のうち、原子力発電所における運転日誌等の不正に関する件を議題といたします。
本日は、参考人として電気事業連合会勝俣会長、北陸電力株式会社永原社長、松波副社長、東京電力株式会社武黒常務、株式会社日立製作所丸常務、株式会社東芝佐々木常務、日本原子力技術協会石川理事長、以上七名の方の御出席をいただいております。
まず、勝俣参考人から説明を聴取いたします。勝俣参考人。
○参考人(勝俣恒久君)
(略)
○委員長(伊達忠一君)
以上で参考人からの説明の聴取は終了いたしました。
これより質疑を行います。
質疑のある方は順次御発言を願います。
○加納時男君
おはようございます。自由民主党の加納時男でございます。
今、勝俣電気事業連合会会長から全体についての御報告と決意が述べられました。全体で自主的に調べた結果、三百九の事案、一万件を超える件数があったということ、そのうち原子力では九十八の事案、四百五十九件の不適切な事例があったということでございました。率直に申しまして、極めて多くの事案であり、多くの件数であり、極めて遺憾なことでございます。
このことは、実は大事なことが二つ含まれていると思います。一つは、これによって社会の信頼を著しく傷付けたということが一つ。それからもう一つは、これはもっと私は、最も大事だと思っているんですが、人は誤ることがあります。機械は故障することがあります。原子力政策大綱にもはっきりとこのこともうたわれております。ですから、間違いを起こしたからけしからぬ、機械が具合が悪かったからけしからぬと言っているだけでは不十分で、もちろん起こらないようにすることは大事でありますけれども、その失敗は次なる改善への貴重な教訓でございます。こういった貴重な教訓を是非とも、つまり失敗というものからいかに多くの教訓を学んで再発防止対策に生かすかということが絶対に必要だと思うので、今日はそれを中心に質問をさせていただきたいと思っております。
まず、今原子力の事例いろいろございましたけれども、その中で、今の御報告された資料の五ページでございましょうか。Aランク、つまり一番問題のあるものとして六事案七件が挙がっています。その中で、特に制御棒の引き抜けによります、あるいはずれでございますね、これによる予期せぬ臨界が二事案あったということでございますので、これにまず焦点を絞って御質問したいと思います。
初めに、勝俣参考人並びに永原参考人に伺いたいと思います。
この二件は東電と北陸電力さんで起こっている問題でございます。今から二十九年前の一九七八年の福島第一の三号、それから今から八年前の志賀の一号でございますが、まずこれがなぜ起こったのか、なぜこの意図しない臨界に達したのか、安全上の危惧はどの程度のものであったのか、解析した結果を御報告いただきたいと思います。
初めに勝俣参考人に質問いたします。
○参考人(勝俣恒久君)
お答えいたします。
本件は二十九年近く前のことでありますので、残念ながら調査を尽くしても当時の手順や作業の実態を明らかにするには至らず、原因の特定には至りませんでした。ただし、他の類似事象などから考えて、本件も何らかの理由によって制御棒駆動機構の冷却水の圧力が上昇したことが原因で、制御棒が引き抜けたものと推定しております。
また、当時は制御棒が引き抜けてしまう可能性について、経験や認識が必ずしも十分ではなかったのではないかと考えております。このことが制御棒引き抜けを防止する適切な対策が取られず、さらに制御棒が引き抜けることはあり得ないという先入観をもたらして臨界状態になっていることに思いが至らず、結果として臨界が長時間続くことになった原因の一つであったと推測いたしております。
次に、安全上の危惧についてお答えいたします。
本件においては制御棒の引き抜けの程度が小さかったことなどから、原子炉は臨界になったものの原子炉の出力は定格の約一万分の一程度と極めて低く、かつ緩やかに推移したものと考えております。このため燃料が破損するおそれはなく、また放射線のレベルも運転中に比べて極めて低いレベルであったと考えております。
このように、本件は臨界が発生したものの、原子炉の安全性の点でも、放射線被曝の点でも、プラントは直ちに安全上問題となるような状態ではなかったと判断いたしております。ただし、原子炉の反応度を管理、制御することは原子炉の安全確保上基本的なことであるのに対し、これに反して予期せぬ臨界が発生したこと自体については、結果としての出力の大小や影響の程度にかかわらず、極めて重大なことと受け止めております。
当社は、これまでにもこのような制御棒の引き抜け及びそれによる臨界が発生しないように手順書の整備などを行ってきております。それらに加えて、今般、当面の対策強化を実施したところでございますが、さらに、本件の重大さにかんがみて、現在、他のBWR電力やメーカーとも協力しながら、ハード、ソフト両面での更なる対策を鋭意検討しているところでございます。これらの対策によって、同様の事象が二度と起きないよう再発防止に万全を期したいと考えております。
以上でございます。
○参考人(永原功君)
北陸電力の永原でございます。
当社は、平成十一年六月、志賀原子力一号機におきまして臨界事故を発生しておりました。当時、これを隠しまして、必要な記録を残すことなく、国及び地方自治体へ報告をしておりませんでした。今般の調査で判明しましたので、速やかに報告いたしましたが、臨界事故を起こしたこと、またこれを今日まで隠しておったことを大変申し訳なく思っております。
この臨界事故の発生した理由につきましてですが、平成十一年六月、当時、定期検査中でございまして、機能強化工事の中で作業手順のミスから臨界事故を起こしたというふうな認識をしております。
先生から今この事故の安全の危惧について御質問ございましたけれども、この点につきましては、臨界事故が起こりまして、瞬時というか、一時出力が上がりましたけれども、先ほどの説明ありました原子炉の自己制御性をもって瞬時に低下しました。したがいまして、燃料等への損傷はございません。それから、放射線等の環境への影響もございませんでした。また、この事故が発生した当時、原子炉の方には六名の作業員おりましたけれども、放射線の被曝という面についてもなかったことを確認しております。
以上でございます。
○加納時男君
四月十一日、朝起きましてNHKのテレビを見まして、正直言いまして跳び上がって驚いたわけであります。これは、志賀の一号について即発臨界の可能性があった、そしてこれが、話がちょっと飛んでいるんですけれども、即発臨界は水蒸気爆発につながるおそれがあるといって志賀の事例を報道しております。
今、永原参考人からはるる御説明あったわけですが、ここで石川参考人にお伺いしたいと思います。石川先生はこの解析の分野では世界でも最高と言われている方でございますが、幾つか質問させていただきたいと思います。
まず最初に、今お二人の参考人の話の中で、福島第一の三号機は即発臨界はなかったという勝俣参考人のお答えがありました。先生は、これはなぜ福島の第一の三号機は即発臨界にならなかったとお考えでしょうか。
○参考人(石川迪夫君)
日本原子力技術協会の石川でございます。
東京電力の場合には制御棒が五本抜けておりました。志賀の場合には三本でございました。したがいまして、東京電力の方がひどい状態になった方が当たり前ではないかというふうに皆さんお考えなのは当然でございますけれども、東京電力の場合、五本のうち一本は遠く離れた、大きな原子炉の中で一本遠く離れたところで抜けておりましたので、実質的には四本でございます。
ただ、私、話を伺っているところを聞きますと、抜けた量でございますけれども、大体四本が四、五十センチ、北陸電力の場合では一番深く抜けたのは約一・五メートルぐらいまで抜けております。立体的になりますので、核的な大きさで申しますと四本の東京電力よりも北陸電力の方が大きい、そうして、その計算値というのが東京電力の場合臨界ぎりぎりでございまして、誤差を含めましても即発臨界に至らない状況であると。これは計算上からも、聞いておるわけでございますので確かだろうと思います。また、七時間も続きましてほかのパラメーターが何事も起こっていないというのは、非常に小さな出力であったんだろうというふうに考えて差し支えないと思います。
○加納時男君
違いは分かりました。核的な影響の違いだと思います。
そこで、北陸電力さんでやられた解析と、原技協さんでもやはり解析をやっていらっしゃるというふうに伺いましたけれども、その解析に当然条件がありますね、解析するときの条件。それから、その結果の評価、解析した結果。北陸電力さんと原技協さんとで大きな違いがありますかどうか、伺いたいと思います。
○参考人(石川迪夫君)
お答えいたします。
まず、結果的には非常に大きな差はございません。やりました計算の手法は、北陸電力の永原社長より協力の依頼を受けまして行ったものでございますが、私たちは即発臨界のところを中心に計算をするコードを使いまして、そのコードでパラメーター的に計算を行ったものでございます。
北陸電力の場合には、核計算をきちんと行い、それからまた除熱計算を行うという、非常に正攻法とでも申しますか、膨大な計算を行っておられるわけでございます。その結果、一つの基本となります一番あり得るケースと、即発臨界が起きたかもしれないというふうなケースにつきましては、極めていい一致、不思議なほどいい一致を示しているというふうに申し上げて差し支えないかと思います。
ただ、一つ申し上げたいことは、私たちのパラメーター計算では、北陸電力の場合にも即発臨界になり得る状態もありますけれども、制御棒の引き抜きのスピード、それから三本ありますけれども、その制御棒をどの制御棒が抜けたかという選択によっては即発臨界になっていない状態もありますので、ぎりぎりのところであったと、即発臨界になったということの断定ができないわけでございます。
○加納時男君
この今回の意図しない臨界でございますけれども、これはどのくらいの出力なのか、ピーク出力に対して何%ぐらいなのか。それからまた、即発臨界の継続時間ですね、さっきは瞬時にという北陸電力さんの話がありましたけれども、何秒ぐらいと考えられるんでしょうか。そこを教えてください。
○参考人(石川迪夫君)
私たちの計算によりますと、即発臨界の方は後で申し上げますが、出力でございますけれども、四メガワットというふうに出ております。これは定格出力の三%ぐらいの時間で約十五分間ぐらい続いたであろうというふうに出ております。
なお、即発臨界が起こったといたしますと、臨界になって約六秒後に二百三十メガワット、これは定格出力の一四%ぐらいでございますが、瞬間的に上昇いたしまして、約〇・三秒の後には先ほど言いました四メガワットに近い状態に移っていっているというふうに出ているわけでございます。
○加納時男君
そうしますと、出力的には瞬間的に確かに大きなものは出たけれども、それでも一四%ぐらいのものであると、その後は三%ぐらいに落ち着いているというふうに今伺いました。
そうすると、一番のポイントになるのは、この結果、要するに燃料温度はどのぐらい上がったのかという、上がることがあり得たのかということですけれども、マキシマムで何度ぐらいでしょうか。そして、それはどんな意味があるのか。例えば、燃料が壊れるというのは一体何度ぐらいであって、それに対して今回はいろんな仮定をした上で、保守的に計算して何度ぐらいまであり得たんでしょうか。これが一番の実は関心事でございます。
○参考人(石川迪夫君)
膨大な質問でございますので、暫時お時間をいただきたいと思います。
一つ、私、先ほど三%と申し上げましたか、それでは訂正して、〇・三%です、四メガワットはですね。その点、申し訳ありません。
即発臨界によりまして、即発臨界だけの発熱量ということになりますと十三カロリーというふうに出ておりますので、燃料は大体百五十度Cぐらいに約温度が上がったというふうにお考えください。
その後、出力が四メガワットに整定していく過程でずっと熱が燃料の中に集まりますので、約五百度から六百度ぐらいになって、そのままゆっくりと先ほど言った三メガワット、この場合には大体四百度ぐらいというふうに推定いたしておりますけれども、一番ピークのポイントはその点に到達いたしております。全体がというわけではございません。今、ピークのポイントは普通の炉心全体から比べると約七十倍ぐらいの高い状態になっていると。ですから、ほんの炉心のごく一部がそうなっているんだというふうにお考えいただければよろしいかと思います。
また、即発臨界によって、先ほど水蒸気爆発というようなお話がございましたけれども、これは起こり得ております。原研の、日本原子力研究所のNSRRの実験なんかでも起こり得ておりますが、これはUO2、二酸化ウラン、燃料の温度が溶融、蒸発をするというところに至ったところでございまして、温度にいたしまして二千八百度Cから三千三百度C、一挙に上昇するといったような場合にのみ水蒸気爆発が生じるわけでございます。それから比べますと今回の事象というのは非常に小さい、大分等差があるというふうに申し上げて差し支えないかと思います。
○加納時男君
非常に大事なところの質問に対してお答えをいただいたところでございます。
そうしますと、いろいろな計算をして、解析をしていって、最悪の場合どのくらいまで上がり得たのかというのが我々の関心でありますけれども、百五十度C、そしてその後、安定して五百から六百、あるいは四百度Cぐらい、まあ四百度から六百度Cぐらいであると。燃料が壊れるようなこと、温度というのは約三千度前後であるという解析結果が別のところで計算されているということでありますので、今回はそういう水蒸気爆発のおそれという、NHKのあの見出しを見て跳び上がって驚いたんですが、これは石川先生がそういうことはおっしゃってないと確認してよろしいでしょうか。
○参考人(石川迪夫君)
NHKのあれが非常に大げさに聞こえる報道であったことは事実でございまして、私もそのように感じておりますが、その前夜、NHKの記者が参りまして、一時間半ばかり話をいたしました。そのうちの一時間につきましては、非常に勉強家でございまして、まず、北陸電力が安全・保安院に提出されました資料に基づいて反応度投入事象と言っておりますけれども、即発臨界になったんではないかということを自分で勉強して調べてきております。また、私が書きました「原子炉の暴走」という本がございますが、この辺りも読んできたわけでございますが、ほとんど最初の一時間は即発臨界についての、学術的なともいいますか、質問でございました。そのときに、先ほど申し上げましたように、大変な大きな急激な出力の上昇があると燃料が破損に至り、水蒸気爆発があるということも伝えたわけでございます。
ただ、そのときに、私たち日本原子力技術協会といたしましては、私たちが行いました計算について、そのときの週末の十三日の金曜日に記者会見を、全部集めて一斉にお話をするというふうに約束をいたしておりました。NHKの記者が来たのは十日でございます。したがいまして、具体的には、今のような数値というのは私たちは信義上話ができないというところでお話を断ったわけでございますが、そうしてNHKの方に対しては十三日以降に出すようにというお話もしたわけでございますけれども、NHKの御事情があったんでございましょう、十一日の朝ああいうふうな突発的な発表になって、私も驚いた次第でございます。
よろしゅうございますでしょうか。
○加納時男君
分かりました。
ちょうど時間が参りましたので、ほかの参考人にいろいろ質問用意したんですけれども、大変失礼を申し上げました。
私の質問に対する今の石川理事長の御回答を伺っていて感じたことでございますが、やはり今回のは大変遺憾な事例でございます、遺憾な件でございます。ただし、これは実際に水蒸気爆発のおそれがあるようなものではなかったということもまた明確になったかと思っております。
今後、この原因分析、その背景になったこと、こういったことも分析をしながら再発防止対策を努めていただきたい。関係者の皆様にお願いをしまして、私の質問を終わらせていただきます。
(以下、略)
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