活動内容

要人の発言で印象に残った事項

1 自民党の「我が国原子力の基本政策」(仏訳した全文と1枚紙のポンチ画で説明)に強い関心。

☆ 「このような明確な政策を政党で作ったことは素晴らしい。世界でも例がないことだと思う。政治家、政党としての立場を提示したのは意味がある。スキームに賛成。総合ビジョンをキレイにまとめた。大事な点は、光だけでなく陰を明示したこと。「社会の信頼の構築」はOECD加盟国に訴えていることであり同感。」
「原子力に2つの追い風が吹いている。1つは原油の高騰、天然ガスも緊密な関係あり。2つは気候変動。原子力抜きで、京都議定書の達成や地球環境問題の解決は不可能というのが、エネルギー計画をたてる者の一般的認識になった。」 (エチャバリOECD/NEA事務局長)

☆ 「非常に革新的で新しい印象を受けた。こうしたものはフランスに無い。 フランスでは2004年に原子力に関する基本的考えをまとめたが、ここまで詳しい具体的記述はない。2006年に高レベル廃棄物処理の議論を待って既存炉の更新を含めた今後の原子力政策全体の議論をする予定だがあくまでもHLWが中心となる。」 (ビュガ 仏原子力庁CEA長官)

☆ 「まさかこんな資料ができていたとは驚きだ。非常に同感できる素晴らしい内容だ。敢えて言えば1つだけ異論がある。それは「市場自由化と原子力」のところ。「大型の長期投資への民間の慎重姿勢」とあるが、市場メカニズムでも原子力投資は可能。フィンランドはもっとも自由化が進んでいるところだが、この度、民間電力が原子力投資に踏み切った。セキュリテイと環境が大切という主張には同感。ただし、まず自由化を進め、足らざる所を公権力が2つの観点から介入すべきと考える。」
「長期エネルギー政策の中では 地球環境対策が重要課題。指摘のように省エネ、再生エネ、化石燃料の効率利用に原子力。いずれも技術がカギだ。」
「原子力の弱点はHLW処理、化石燃料の弱点は二酸化炭素排出と認識。この弱点を克服しつつバランスをとることが大切。」 (マンディル 国際エネルギー機関 IEA事務局長)

☆ 「テロ対策に触れているが、これは 9.11以降、仏では国防面と自衛面の両方から大きな関心事。特に飛行機墜落に伴う安全性が問われている。
これがないと住民から受け入れられない。フラマトムは提案中だが、まだ国際的な合意は得られていない。フィンランドで建設中の炉では考慮に入れているが制約も多い。直接の衝突によるインパクトよりも それによる揺れへの対応が難しい。EPRは巨大なため対応可能。より小型の場合、どう設計するかが課題。」
「今後は新規サイトは難しくなる。数少ない立地点に大型施設を作り発電量を稼ぐことが必要。この点、2年前に米は大型に懐疑的だったが、現在は大型を指向している。」
「原子力ルネサンスのためには 電力、メーカー、規制当局が 一緒に学び 再スタートする力を付け 協力することが不可欠。フィンランドで建設中のサイトでは 着工認可に非常に時間がかかっている。信頼関係、技術・技能を取り戻すことが必要だ。」
「2025年までに既設炉の寿命もあり160GWを新たに運開する要あり。そのためには 炉型の標準化と各国の規制の調和化が必要。この2つがあれば メーカーとして注文に応じられる。」 (エステーヴ AREVA フラマトム副社長)

☆ 「メディアは確かに大きな問題。TVでの原子力番組は極めて少ない。新聞、特に中央紙のルモンドは原子力反対を明確にし、過激な記事しか書かないと公言している。」
「地方紙を活用し働きかけることが重要。中央紙と地方紙は違う。原子力施設から離れるほど原子力についての情報が少なくなる。」
「事実と違う報道には すぐに違うと声を挙げている。議会には科学技術選択評価委員会があり、各種問題についてレポートを出している。」
「専門家の中に、ラ・アーグで白血病が多いなど誤ったことを吹聴する博士もいて、対応に苦慮したことがある。」 (ガチニョール国民議会議員、エネルギーWG座長)

2 フランスの原子力政策――成功の背景と今後の課題
  
☆ 「仏は初めから原子力比率80%を目指したのではない。需要が思った程伸びず、結果としてそうなったもの。」
「供給がしっかりできたのは @政権が変わっても原子力政策を堅持してきたこと A厳しい原子力安全を貫いてきたこと B同タイプの炉を継続建設することにより経験のフィードバックができた事による」
「バタイユ法に基づきこの15年間廃棄物処理の研究を行ってきた。その結果3つの方法は相互補完的との結論。@地層処分は 長期処分ができるため将来性がある。 A分離は 研究の結果 技術的に可能。今後実証試験が必要。MA(マイナー・アクチニド)変換、消滅処理は、より長期的な課題。第4世代炉のテーマか。B貯蔵は、バタイユのように中レベルのものを貯蔵すべきとの意見もあるが 不必要との意見もある。コンクリートの性能からすれば100年間の貯蔵は問題ない。」 (ビュガ CEA 長官)

☆ 「仏では 原子力の容認度が国民の間で高く、みどりの党を除けばどの政党にも支持されている。政党間でエネ政策のビジョンに差はない。建設開始以来、一貫してPWRを使う、サイクルは完結させる、MOX燃料を使う(注、プルサーマル)、使用済燃料は再処理を堅持。」
「この理由として @フランスには石油や天然ガスなどの天然資源が乏しく、自立性のある原子力が受け入れられやすいこと ACEAが一貫して原子力のR&Dを行い、効率的で安全な開発に成功したこと。実際に仏では 大きな事故がなく住民も安心している。B住民にガラス張りの情報提供を行い透明性を高めていること が挙げられる。」
「自分の選挙区で今EPRの立地計画が進んでいるが 住民は期待を持って前向きに歓迎している。一般産業と同じ。それは フラマンビルの既設炉が安全、順調に稼働していることが大きい。放射性物質の放出もない。」
「HLW処分について結論は出ていないが、もっとも有望なのは深地層貯蔵と思う。現在 ムーズ県のブールの地下研サイトで反対の声がある。広報不足かも。地元に目に見えるメリットを示すことも必要。2006年は一応の期限だが慌てることはない。バタイユは 高レベルの半減期は議員の任期よりもかなり長い、時間をかけて議論しようと言っている」
「2006年を目指して 各地でディベートが行われている。テーマは @EPR建設 A付随する送電線建設 BHLW処分の3つ。 残念なのは一般住民の参加が少なく 出てくるのは反対派ばかりの事。」 (ガチニョール 国民議会議員)

☆ 「HLW処分方策の研究は十分に進み、政府は決断できる状況にある。@地層処分はブールの粘土層の地下研で2年来掘削、4−500m掘ったが 均質で安定。化学的変化、残留熱、機械的影響も調査した。法律では「研究所内には最終処分場を置かない」としているが「この地域には・・・」とは言っていない。 A消滅処理の研究も進んだ。アクチニドを高速炉で燃やせることも実証した。2040年から高速炉を建設し、MAもリサイクル可としたい。これはウランの節約、使用済燃料の毒性低減、核不拡散というGWの目標に沿うものである。」
「既存の軽水炉50GWが1980-90sに集中的に建設された。2040頃にそれらが寿命を迎える。その対策として既存炉の寿命延長、EPRでの置き換え、2040からのGW導入を計画。これにより MAがHLWでなくなる。」 (ブシャール CEA長官特別顧問、前原子力開発局長)

☆ 「仏で大量リプレースが集中することについて、単純に年数でなく炉の状態ごとに寿命を判断し、終了時期を分散させる。計画的に止め、計画的に建設。これにより要員も資材も対応可能。一度に発注されても対応できない。」 (エステーヴ AREVAフラマトム副社長)

3 その他エネルギー関係の話題

<米の原子力建設促進の対策>
☆ 「3つの対応を考えている。@ 訴訟対策。許認可プロセスにおいて、これを止める訴訟は1回しか提訴できないこととする。A 保険。政策変更により建設に向けた手続きが中断する場合を救済する。B 減税。最初の5基について20%の減税をする。これは 風力、太陽光、バイオと同様の措置。現在 8コンソーシアムが11の許認可を目指している。」 (ドメニチ 米 上院議員)

<原油価格の動向>
☆ 「4−5カ月の短期では 相場は下がる。理由は3つ。 @消費国の備蓄が ここ数年の平均を上回る高水準。 Aここ数週間、数ヶ月の間に生産開始されるプロジェクトが多く 生産能力が増加する。 BIEAは原油高騰対策として9月2日に備蓄放出を決定。投機資金の動きはこれを契機に沈静化した。」
「しかし、予期せぬ出来事で状況が変わることもある。たとえば、厳寒、OPECの動き、事故、テロなど。」
「中長期的には少しずつ相場が上がる。2030頃には65ドル程度か。理由は 可採量の低減、中東への集中などで産油国が力を増すこと。」 (マンディル IEA事務局長)

<電力市場の自由化>
☆ 「1996年の電力に関するEU指令に基づき自由化を進めている。議論の結果、独占体制は最良のマネージメントではない、競争に変えられるものはすべて変えるとなった。なぜなら独占では消費者に選択の余地がないこと 及び 供給者側に効率化のインセンテイブが働かないからだ。」
「2004年7月1日から大口自由化を実施、2007年7月から全面自由化を行う。ネットワーク部門を子会社化、分離し、系統へのフリーアクセスを行う予定。」
「CRE(エネルギー規制委員会)は政府から独立。系統アクセス料金はCREが決定。」
「欧州単一市場を目指しているが2つ問題がある。1つは国際連携線の容量不足。2つは 規制価格と市場価格の併存。EU指令では規制価格を残す必要はなく 仏も不要と思う。」 (ジャン・シロタ CRE委員長)

以 上