活動内容

2002年10月の活動

◇文部科学大臣政務官交代に伴う省内への御挨拶

◇10月31日 参議院 経済産業委員会での加納時男理事の質疑


◇10月31日 参議院 経済産業委員会での加納時男理事の質疑

「東京電力原子力発電所における不正記録問題等に関する件」について、加納時男参議院議員が、
◆勝俣恒久 東京電力株式会社 取締役社長
◆平沼赳夫 経済産業大臣
◆佐々木宜彦原子力安全・保安院長
に対して、以下のように参考人質疑を行いました。


参議院 経済産業委員会 会議録(抄)

平成十四年十月三十一日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         田浦  直君
    理 事
                魚住 汎英君
                加納 時男君
                松田 岩夫君
                木俣 佳丈君
                平田 健二君
    委 員
                小林  温君
                近藤  剛君
                斉藤 滋宣君
                関谷 勝嗣君
                保坂 三蔵君
                直嶋 正行君
                藤原 正司君
                簗瀬  進君
                若林 秀樹君
                松 あきら君
                緒方 靖夫君
                西山登紀子君
                広野ただし君
   国務大臣
       経済産業大臣   平沼 赳夫君
   副大臣
       経済産業副大臣  西川太一郎君
   大臣政務官
       経済産業大臣政務官       西川 公也君
       経済産業大臣政務官       桜田 義孝君
   事務局側
       常任委員会専門員        塩入 武三君
   政府参考人
       原子力安全委員会委員長     松浦祥次郎君
       資源エネルギー庁長官      岡本  巖君
       資源エネルギー庁原子力安全・保安院長     佐々木宜彦君
   参考人
       東京電力株式会社取締役社長   勝俣 恒久君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○経済、産業、貿易及び公正取引等に関する調査(東京電力原子力発電所における不正記録問題等に関する件)

  :
(中 略)
  :

○加納時男君
 おはようございます。
 一昨日、十月の二十九日、原子力安全委員会は原子力の安全の信頼の回復に関する勧告を出しました。松浦委員長の名前で出されました。一九七八年、昭和五十三年に原子力安全委員会が発足して以来、このような厳しい勧告が出ましたのは初めてのことと私は認識しております。これをどのように受け止めているのか、伺いたいと思います。
 初めに、参考人に伺いたいと思います。
 原子力安全委員会は、事業者に対して自主性、責任感に基づく品質保証の体制の下で保安活動をしっかりやれということを言っておりますが、これまでの反省を含めまして、改善策、所感を伺いたいと思います。

○参考人(勝俣恒久君)
 東京電力社長の勝俣でございます。
 今回の当社の原子力発電所における一連の不祥事につきましては、国民の皆様、特に発電所立地地域の皆様方に大変な御心配、御迷惑をお掛けいたしましたことを深くおわび申し上げます。どうも誠に申し訳ございませんでした。
 事業者が自ら責任を持って行う自主検査におきまして、ひびやその兆候の事実隠し、あるいは修理記録への虚偽の記載などを行ったこと、またこのたびの福島第一・一号機格納容器漏えい検査におきまして法律に抵触するような不正を行ったことにつきましては、いずれも国や社会の信頼を裏切る行為であり、弁解の余地はございません。これらは言わば企業倫理が欠如していたという大きな問題が根底にございますが、それに加えまして、原子力の安全、品質保証に関する監査システム、こういったものの社内のチェック体制が十分に機能を発揮していなかったこと、また原子力部門は限られたメンバーだけの同質化した社会であり、言わば自分の意見を言い出せない、こういった企業・組織風土が形成されていたこと、これが今回の事態を長期間にわたりまして繰り返させたものと深く反省いたしているところでございます。
 こうした反省に立ちまして、まず企業倫理の遵守、これは原子力部門だけでなく当社全体の職場一人一人にわたりまして浸透するよう改めて組織的に徹底する所存でございます。その上で情報公開を徹底いたしまして、透明性の高い発電所運営を行う。例えば、立地地域の自治体や議会、諸団体の代表なども参加をいただきまして発電所地域情報会議を設置し、その方々からの御意見をいただく、あるいは情報についてはフリーアクセスにするといったこと、あるいは社外の有識者から成る原子力安全・品質保証会議を設置し、中立的、専門的な立場から改善策などについて御意見をいただくこと、また原子力部門の閉鎖性を打破し、風通しの良い企業風土を作る、こういった観点から原子力品質監査部を設置いたすと、こういったことを含めまして再発防止に全力を尽くしていきたいと、こういうことで考えております。よろしくどうかお願いいたします。

○加納時男君
 お話を伺いまして、企業の風土、それから企業倫理、さらには品質保証、そういった面での改善策を深い反省の下に進められるということでございます。
 申すまでもなく、原子力は地域の方々、そして国民の信頼があって初めて効果を、その存立が認められるものであります。そして、国策として、地球温暖化防止の観点からも、またエネルギー安全保障の面からも不可欠な原子力の推進、その推進が地域の信頼を損なってはならないということは今、参考人のおっしゃったとおりでございますので、信頼回復のための、大変厳しいですけれども、地道な努力を是非新体制で進めていただきたいと思います。
 大臣にお伺いしたいと思います。
 原子力安全委員会は国に対する勧告といたしまして、先ほど佐々木保安院長から御紹介のあったような責任分担の明確化、それから規制制度の整備、情報公開の改善、こういった三点を求めているかと思いますが、これについての国の取組でございます。先ほど佐々木さんは重く受け止めているとおっしゃいましたけれども、大臣の御覚悟を伺いたいと思います。

○国務大臣(平沼赳夫君)
 お答えさせていただきます。
 私からも、まず第一に、国の原子力エネルギー政策を進めるに当たりまして一番大切なことは、いかにその安全を担保するか、そして立地で御協力してくださる立地地域の皆様方に、そして国民全般の方々にいかに信頼感を醸成するかと、このことが一番大切なことだと思っております。今回の一連のこういった事案に関しまして、その安全性について国民の皆様方に大変御心配をお掛けし、また立地地域の皆様方にも大変その信頼を損なう結果に相なったことに関しまして、エネルギー政策を担当しております責任者として私からも心からまずおわびを申し上げなければならないと、このように思っております。
そして、勧告に関しましては、これは御指摘のとおり初めて行われた勧告でございまして、私どもとしてはこれを非常に重く受け止めさせていただいて、その勧告をやはりしっかりと実行する、こういうことが責任につながると、こういうふうに考えておりまして、全力で私どもはその勧告に従って努力をさせていただきたいと思っております。その勧告につきまして、私どもとしましては、法令の改正あるいは制度の的確な運用により対応に努めることにしていきたいと思っております。
 今回の問題に関する再発防止策を可及的速やかに実施するために、関連する法律の改正法案を今臨時国会に提出をさせていただくことにしておりまして、原子力の安全確保につきましては、勧告の趣旨を踏まえまして、国民の信頼を取り戻すために万全を尽くしてまいりたいと思っております。
 具体的に申し上げますと、一つは、国と事業者の責任分担の明確化、これをしっかりやらなきゃいかぬと思っております。二つ目は、運転段階の安全を重視した規制制度の整備を更に一層徹底しなければならないと思っております。三つ目は、これは勧告にも当然でございますけれども、情報公開の向上と透明性の向上を図っていく。
 この三点の勧告については私どもは言うまでもなく万全を期さなければならないと思っておりまして、もう少し詳しく申し上げますと、責任分担の明確化につきましては、一つは、事業者責任を一層明確にするために、事業者の検査義務を明確化する定期自主検査を導入したい、このように思っております。それから二つ目は、事業者の安全確保に関する品質保証体制の確立が重要であることから、これを原子炉等規制法に基づきまして、事業者が定める保安規定に規定させた上で国が保安検査により確認をする、こういった体制を取らせていただきたいと思っております。三つ目は、国の検査の実施体制につきましては、新設をされる独立行政法人も活用しながら、専門性を持った人材の確保と体制の充実に努める、こういったことで対応をさせていただきたいと思っております。
 第二に、運転段階の安全を重視した規制強化の整備について申し上げますと、事業者の自主検査を法的に義務付けるとともに、ひび割れなどの不具合に対しては、事業者による健全性の評価義務を定めるとともに、評価手法を明確化することなどによって対応をしてまいりたいと思っております。
 そして、情報公開の向上と透明性につきましては、原子力関係規制法の運用につきまして、原子力安全委員会に報告して意見を求めることを制度化をしまして、あわせて、これを公開することによりまして積極的に対応をしてまいりたい。
 このような形で勧告を私どもは重く受け止めて実施をしていきたいと、このように思っているところでございます。

○加納時男君
 勧告を重く受け止めて具体的な施策をいろいろ考えておられることを今伺いました。
 その中で特に印象に残ったことは、一つは独立行政法人の問題でありますが、これは企業とかあるいは研究機関におられるエキスパートを活用するという観点でも従来の公務員型ではできなかったことだと思います。非公務員型の良さを利用して是非とも検査体制を、量の面もそうですが質の面でも充実していただきたいと思います。また、自主保安検査を定期的に行うことの位置付けを明確にする、これも明確な回答だったと思います。さらには、これまでも種々議論されてまいりました運転開始後の性能健全性評価の問題でありますが、これについても今お触れいただきましたので、私どもとしてはこの評価基準を明確化していくことを強く求めていきたいと思っております。
 さて、八月二十九日に発表されました東京電力の原子力発電所における記録不正等の事件でございますが、一昨年の七月に告発が行われてから、今回この事案が明らかになるまで実に二年以上掛かっているわけでございます。その原因は何かについて、参考人、政府から一言ずつ伺いたいと思います。参考人にまず伺いたいと思います。

○政府参考人(佐々木宜彦君)
 平成十二年七月に届きました申告の件でございますけれども、福島第一原子力発電所一号機におきます平成元年の蒸気乾燥器のひび割れという内容でございましたが、この蒸気乾燥器は平成三年の定期検査時には既に交換済みでございまして、申告を受けた時点で運転中の原子力発電所の安全性に影響するものではないと私どもは判明しておりました。さらに、その年の十一月、第二の申告がございましたが、工具を福島第一・一号機の炉内に放置されたという内容でございましたが、申告者によれば当該レンチは既に回収済みということでございましたが、この工具が炉内に放置されたとされる時期は当該原子炉はフル運転中であったということから、当時、この方の申告のこの件に関しての信憑性は低いと判断をいたしました。私ども原子力安全・保安院といたしまして、この申告の案件につきましては、安全上の問題がなく、調査は続けておりましたけれども、緊急性を要する問題とは認識しておりませんでした。
 この点について、原子力安全・保安院の調査過程を評価するために設けられました評価委員会では、原子力の技術的な意味での安全の確保だけでなく、原子力の安全行政に対する信頼の確保が必要であるという認識が原子力安全・保安院には不十分であったという厳しい御指摘を受けておりまして、なおかつ、保安院の対応に迅速さを欠き、公表が遅れたと指摘を受けているところでございます。
 こうしたことから、私どもも、今、申告の処理について外部有識者から成る申告調査委員会を既に設けておりまして、この委員会で審議、了承された方針に従って今後迅速な処理を行ってまいりたいと考えております。

○参考人(勝俣恒久君)
 まず、申告案件と呼ばれる二件につきましては、平成十二年七月四日に当時の通産省から口頭で調査依頼を受けております。
 それで、これが二年掛かってしまったということの一つの要因につきましては、当該の事項につきまして、水中溶接を黙って行ってしまったということを背景に、記録を残さないというようなことで記録が残っていなかったこと、それから十一年前の事項でございまして、関係者の記憶に頼らざるを得なかったと、こういうことから非常に調査が難航したということが一つございます。
 また、その他の二十七件でございますけれども、GE社から情報提供を受けたのは五月でございましたけれども、最終報告に至るまで約四か月要しております。これらにつきましては、一挙に二十七件、また一番古いもので十五年前のものと、こういったこともございまして、その調査に非常に時間が掛かったこと、またGE社そのものが調査の途上であり、なおかつ種々の折衝に当たってはGE社がアメリカで意思決定をしていたと、こういうこともございまして四か月掛かってしまったと、こういうことが背景にございました。
 しかしながら、いずれにしましても、申告案件の調査の過程でもっと早期に、案件の背景にある当社の仕事の仕組みの不適切さとか、不正を許してしまう土壌の存在に気付くべきであったと私ども率直に反省をいたしているところでございます。と同時に、どうも大変申し訳ございませんでした。

○加納時男君
 いろいろ両者から伺いまして、理由はいろいろあったにせよ、対応が遅れたということは事実でございます。社会の批判を正面から受け止めまして、それぞれ対策を取っておられる、取るということでお約束いただきましたので、是非とも迅速な処理を今後お願いしたいと思います。
 話は変わりますが、東京電力の福島第一原子力発電所一号機の第十五回定検、これは九一年です。それから、第十六回定期検査、九二年ですが、このときに、原子炉格納容器の気密性試験、リーキングテストと言っていますが、これにおいてデータの不正操作があった、空気注入等が行われたということが十月二十五日に発表されました。これについて、現在までに分かっている範囲で結構ですが、だれがどのような理由でどのようにして不正を行ったのか、分かっている範囲でお答えいただきたいと思います。これは、参考人、それから保安院と両方に伺いたいと思います。

○参考人(勝俣恒久君)
 この東京電力福島第一原子力発電所一号機の第十五回、第十六回定期検査における格納容器の気密性漏えい試験において不正が行われたと、この案件でございますが、これまでGEの指摘事項二十七件と性格が異なって、国の検査に直接かかわるという事案の性質上、より慎重かつ客観的に事実の究明を行う必要があると判断いたしまして、高度の専門性を持った社外の先生方に調査をお願いいたしております。
 現時点までの調査において、九一年の第十五回定期検査において、漏えい率を低下させる目的で炉内に圧縮空気を注入して、失礼しました、原子炉格納容器内に空気を注入して検査を受けたこと、また九二年の第十六回定期検査では、十五回と同様に、原子炉格納容器内に空気を注入したこと及び漏えいが生じていた弁の配管に漏えいを抑止するために閉止板を取り付ける行為を行ったことがあるということが認められるという報告を受けております。
 しかしながら、だれがなぜ、いつ、どういうふうにして行ったかということにつきましては現時点では確定できておりません。調査団には年内のできるだけ早い時期に報告をしてほしいということでお願いしておりますが、その最終報告の中で明らかにされるということで考えておりますので、御理解を賜ればと思います。

○政府参考人(佐々木宜彦君)
 原子炉格納容器は冷却材の喪失事故時に放射性物質を閉じ込める安全機能を有するものでございまして、事故時を想定した設計圧力において漏えい率が一定の制限値以下であるという性能を有さなければなりません。格納容器の閉じ込め性能は重要なものでありまして、国の定期検査において検査官が立ち会って漏えい率検査を行うことといたしております。
 現時点では、平成三年及び平成四年の定期検査において不正があったことは東京電力も認めているとおりでございまして、平成三年、四年、両年の格納容器の漏えい検査におきまして、漏えい率の測定中に圧縮空気を格納容器に不正に注入する、それから平成四年におきましては、漏えいが検知された弁を検査の要領書で定められた方法でない閉止板を用いる方法により閉鎖をしたと承知をいたしております。
 なお、詳細につきましては私どもも調査中でございまして、引き続き東京電力及び日立製作所からいろいろな事情の聴取を行っているところでございますが、私どもといたしましては、いずれにしても、その全容が極力早期に判明し、必要な対応が取れることで全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。

○加納時男君
 だれがやったか、なぜやったのかは不明なままで、ただ悪いことがあった、したがって罰した、これだけでは納得できないというのが国民の感情であります。したがいまして、早急にだれがやったか、なぜやったのかということを明確にしていただきたいということを要求したいと思っております。
 この問題はポイントは二つあると思うんです。一つは、これがどの程度の不正であるかということであります。
 申すまでもなく、保安規定に違反した、しかも定期検査に対して妨害を行ったということですから、原子炉等規制法、電気事業法に違反する法令違反の、不正としては極めて良くないものであり、そのために厳しいペナルティー、一年の停止というのが出るという報道がありますが、これはもっともだと思っております。不正は厳しく糾弾すべきだというのが第一であります。
 同時に、原因をよく調べたいというのが第二であります。
 第三でありますが、どの程度安全に支障があったものか、これが一番の実はポイントだと思っております。
 今、佐々木院長からお話があったように、LOCAと言っておりますけれども、冷却材を喪失する、例えば再循環ポンプが破断してしまって放射性物質が圧力容器の中に一杯出てしまう、それがまた外に出てしまうといったようなことですね、圧力容器の外に出てしまって格納容器の中にそれが入ってしまう。そこから外へ漏れたらば大変だというので調べているのが漏えい率であります。
 そうしますと、例えば、一部の新聞に作為前の漏えい率が二%強だといったような記述があります。保安規定では〇・五%以下、一日当たりの漏えい率としていると思いますけれども、これが現実にどのような意味合いを持っているのか。例えば、二%であったならば、それは、現実にLOCAと言っております冷却材喪失事故が起こったときに敷地線の、敷地の境界において立地指針の定めている五ミリシーベルト・パー・イヤーというものを脅かすものなのかどうか。これが一番実は住民にとっては心配事でありますが、これについての事実だけは、お分かりでしたら教えていただきたいと思います。

○政府参考人(佐々木宜彦君)
 福島第一原子力発電所の原子炉の設置許可の申請書におきましては、格納容器の設計の漏えい率は、今、先生お話しのとおり、〇・五%・パー・日を前提といたしまして、これに冷却材喪失事故、再循環系の配管の完全破断、また同時に外部電源の喪失を仮定し、またECCS系も一系統の故障を仮定する、こうした計算評価によりまして、敷地境界におけます被曝の評価結果は、実効の線量当量で〇・〇一一ミリシーベルトとされております。
 今お話ございました、仮に御指摘の格納容器の漏えい率二%・パー・日ということを前提といたしました場合、正確には詳細な評価は必要でございますけれども、単純に漏えい率の比で被曝線量を試算をいたしますと、おおむね〇・〇四ミリシーベルトというのが敷地境界における被曝評価になります。
 なお、事故時に周辺の公衆に対して著しい放射線被曝のリスクを与えない水準についての判断基準は、原子力安全委員会の発電用軽水型原子炉施設の安全評価に関する審査指針に基づきまして、敷地境界では五ミリシーベルト以下の実効線量当量とされているところでございます。

○加納時男君
 もうこれで質問終わりますけれども、この問題は非常に数量的、科学的な要素もあるものでございますので、客観的に事実を詰めながら、そして判断をしていくということが大事だということを申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

  :
(以下省略)


◇文部科学大臣政務官交代に伴う省内への御挨拶

 加納時男参議院議員は、昨年9月21日以来、大臣政務官として文部科学行政に携わって参りましたが、この度、他省庁の大臣政務官と同様に、新政務官と交代することとなりました。
 加納文部科学大臣政務官とともに仕事をされた文部科学省の皆様、ご支援下さいました方々には、厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 10月7日、大野松茂新大臣政務官への引き継ぎ後に加納前文部科学大臣政務官から省内への御挨拶を以下のとおり行いました。


 皆さまにお別れをするつもりはありません。一時、休暇をいただくということで御挨拶をさせていただきたいと思います。
 私が大好きな言葉に、

 Leave the beaten track occasionally and dive into the forest.
 You will be certain to find something that you have never seen before.
  (たまには、歩き慣れた道を離れて見知らぬ森に入ってみよう。
   まだ見たことのないsomethingを見つけることができるだろう。)(*1)

というグラハム・ベルの言葉があります。
 長い間実業界を歩んできて、その歩き慣れた道から一歩離れて政治という見知らぬ森に入り、3年間、エネルギー、経済、環境、外交、防衛といったことに自分なりには全力投球して参りました。そして、昨年9月21日に文部科学省という新しい森に入ったわけです。この森では、私は毎日新しいsomethingを発見し、未知との出会いに大変ワクワクする毎日でした。
 文部科学省はウィーンの森のようなものだと思います。若い頃に初めて私がウィーンに行ったときに、大使館の人に「何を見たいか」と訊かれ、「ウィーンの森を見たい」と答えて馬鹿にされまして、「ウィーンの森は鎮守の森と違って非常に大きいのだ」と言われました。文部科学省は、ウィーンの森のように非常に広く、いろいろな植物・動物がいて、鳥がさえずっている、本当に豊
かな森だと思います。ここでいろいろな仕事をさせていただき、新しい発見、新しい感激、新しい驚きの毎日でした。
 ここに来た1年前に、「私を先生と呼んで欲しくない。なぜなら、文部科学大臣政務官は略すと「モンカセイ(門下生)」だ。皆さんには教えてもらいたい。」と申しあげました。この門下生は随分生意気なことを言いいまして、「こんな厚い資料を作っていただきお疲れ様だが、読むのに時間がかかるので、要点を1枚の紙で、3項目にしていただきたい。」とお願いしたことがありま
した。皆さんにはお付き合いただき、必ず1枚の紙に3項目で色刷り、ポンチ絵付きということでやっていただき、本当に嬉しく思いました。
 皆さまにお教えいただくことばかりで、何ができたかと言われると忸怩たるものがありますが、おかげさまで遠山大臣にご指導をいただき、本当に責任をもたせていただきました。
 主に担当させていただいた仕事の1つ目は、「国民の理科離れ対策」というと暗いので、ポジティブに「理科大好き日本、科学技術大好き国家を造ろう」と、「国民の科学技術リテラシーに関する検討会」の座長をさせていただきました。8月にとりまとめ、予算に反映し、新しい施策が実現できたのは皆さんのお力だと思っています。
 2つ目にお任せいただいたのは、「対人地雷の探知・除去技術に関する研究会」であります。学者の先生方にご議論いただきながら、対人地雷のセンシング技術やアクセス技術を通じて、日本の目に見える貢献として、研究室ではなくアフガンの現地で使える技術を開発しようということで答申をまとめ、実施の段階に入ったことを喜びたいと思っています。
 3つ目として、原子力二法人の統合プロジェクトでは青山前副大臣をお助けして副座長として参加させていただきましてた。8月には統合の基本方針がまとまり、今日から第2ラウンドが始まるということで、大野新政務官殿にはご活躍いただくことがたくさんあります。
 これらの3つの大きな項目に加えて、様々な国際会議に代表として出席させていただいたり、ポストゲノムの日米協力関係のプロジェクトの交渉、日中の原子力の行政官交流をまとめる仕事など、国際舞台の仕事もさせていただきました。最近では、米国エネルギー省長官との懇談、中国の原子力エネルギー機構委員長との会談等を行わせていただきました。日米、日中、日仏などの科学技術協力−−特に原子力開発協力については大変不幸な事件が日本では起こっていますが、それを乗り越え−−新しい時代を創っていきたいと思っております。
 この1年余りの間は、本当に充実した毎日でありました。今日の新聞で「短い期間にクルクル交代させることはけしからん」との政務官離任の談話が物議を醸しているようです。私はそういう方の意見は非難はしません。しかし、私はまったく違います。1年くらいの任期と予めわかっているなら、その期間に助走をして、本番を走り、最後にゴールインすること、スタッフの皆さんと一緒に力を合わせてやるのが大臣政務官の仕事だと思っています。私には悔いはありません。この1年間、皆さんと一緒に燃焼できたことを本当に感激して、喜んでいます。

 最後は、マリー・キューリーの言葉で締めくくりたいと思います。

  「既に成し遂げたことにいつまでも目を向けるのではなく、まだ残された
   こと、これからやらければならないことに目を向けよう。」(*2)

これも大好きな言葉であります。
 まだまだやりたいことがたくさんあります。科学技術創造立国を具体的に一歩一歩進めていくこと。そして、教育改革。理想に燃え、国や社会や地域、地球に貢献するような人づくり、「高い志」をもつと同時に弱者の目線の「温かい心」をもつ人材を育てるような教育改革。しかし、「高い志」と「温かい心」をもつ人材づくりは1年では、まだまだできなかったことであります。
 今日、私が文部科学省を去りましても心は残ります。皆さまと一緒に、残された仕事に取り組んでいくことが皆さまへの恩返しだと思っています。皆さまのことを部下と思ったことは一度もありません。いつも仲間と思っておりました。これからも仲間としておつき合いいただきたいと思います。これからも一緒にやりましょう。
 ありがとうございました。

                                以 上
*1,*2:日本語訳版権は隈部まち子氏