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ドイツ社会民主党モニカ・ガンゼフォート議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について


ドイツ緑の党ハンス・ジョセフ・フェル議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について


独キリスト教民主同盟クルトディッター・グリル議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について


ドイツ原子力フォーラム・ルッツ・フライシャー広報局長との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について





ドイツ社会民主党モニカ・ガンゼフォート議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について
  日時:2000年8月28日(月)10:00-11:30
場所:ドイツ連邦議会
先方:ドイツ社会民主党モニカ・ガンゼフォート議員※

※ 元ハノーバー工科大学教授
※ 連邦議会持続可能なエネルギー供給調査特別委員会理事
※ 連邦議会環境・自然保護・原子力安全委員会理事
※ SPDエネルギー政策スポークスマン代理
当方:加納時男議員 松尾浩道 駐独一等書記官 市村健秘書(記録)

加納:本日は貴重な時間を頂戴し恐縮。早速だが、ドイツの原子力発電は、高い安全性と優れた経済性を有し、現に、発電電力量の1/3近くを占めている。CO2排出の削減にも貢献。それなのに、なぜ脱原発で合意したのか。

ガンゼフォート:日本の国会議員,しかもエネルギー政策のプロの来訪を心より歓迎する。

脱原発の最大の理由は、原子力は非常に危険な技術であるということ。第二に放射性廃棄物処分問題は世界のどの地域でも解決されていないこと。第三に核の平和利用と軍事利用を分離することは出来ないこと。第四に経済性に劣ること。実際、国の補助金があるから操業できるのが実情だ。第五に将来性を有するエネルギー構造の構築を阻止していること。分散エネルギーこそ将来のエネルギー形態であり、原子力はその推進の阻害要因だ。繰り返すことになるが、最も大事なのは原子力は危険であるということ。もっと早く廃止すべきであったが、経済界からの損害賠償請求が危惧されていたため政治判断が鈍ってしまった。

加納:今日は討論会ではないので、お話を伺うことに特化したい(笑い)。第一に、あらゆる科学技術にはリスクがある。原子力には「事故の可能性」「HLW処分の困難性」「軍事目的への転用」の三つのリスクがあり、これらは私も国会でも常々主張している。この点はガンゼフォート議員と同じ見解。が、潜在的リスクを未然に防ぎ、多重防護を施すことによってドイツ原子力は高い安全性を維持していると認識。ドイツ原子力は技術的に危険とお考えか。

ガンゼフォート:勿論危険だ。過去のチェルノブイリ、日本でも昨年に東海村で発生したが、こうしたリスクがあると思う。風力発電、火力発電にもリスクは伴うが、原子力事故の影響は非常に大きく、人間の管理能力を超えている。民主主義では過半数が廃止意見である以上、その意見を尊重し廃止の道を選択するのは当然。日本はどのような意見がmajorityか。容認意見が大きいと聞いている。

加納:原子力のリスクは社会的・技術的にコントロール可能であり、これは国民に支持されていると思っている。リスクと便益はパッケージにして考えるべきであり、リスクのみ主張するのは如何なものか、というのが持論であり、この意見は国民にも理解されている。

ガンゼフォート:確かにコントロールできるかもしれないが,我々政府は廃止方向で議論しているし、その方向で進んでいるのも事実だ。

加納:是非代替策を伺いたい。原子力はドイツ発電電力量の30%を既に占めており、温室効果ガス削減に多大に貢献している。一方、石炭火力も主力。これは温室効果ガス発生源の最たるもの。こうした状況を如何に解決するのか。

ガンゼフォート:30%が原子力とおっしゃったが、一次エネルギー供給では11%。再生可能エネルギー開発の議論は原子力の議論に時間を取られ若干遅れているが、11%の代替としては、第一にコジェネを行う。第二に民生用の断熱性の向上。第三に自動車のガソリン使用量を3リットルに制限する(注:ドイツは100キロメートル/3リットルで走行する『3リットルカー』開発が大きなテーマとなっている)。

それから再生可能エネルギー、即ち、太陽光・風力そしてバイオマスに省エネだ。こうした対策により原子力代替を進めたいと考える。そもそも原子力は需要に基づいて建設されたのではなく、中央政府の意向が大きく反映されているものだ。省エネ規制については、近々に規制法が出来る予定だ。とにかく分散型電源を進めるべきだ。実は日本のエネルギー政策を参考にしたものがある。それは「屋根のプログラム」と呼んでいるが、太陽光発電の普及促進策で、現在ソーラーは10万戸に上っており、融資優遇措置も進めている。更に、再生可能エネルギーの電力を電力会社に99ペニッヒ/kWhで引き取ってもらっている。これは立法化された。

加納:数字を確認したい。99ペニッヒは高いのでは。

ガンゼフォート:太陽光の場合99ペニッヒ、風力は16ペニッヒ。が、年々金額は下がってくる。これも日本から学習したもの。同じ値段では進歩が無い。4月にスタートしたのでこれから引き下げていくが、その下げ額は未定。小さいプログラムであるが,10年後は一次エネルギーの10%を再生可能エネルギーで行う予定だ。

加納:この10%には大規模水力は含まれているのか。10%の内訳を伺いたい。

ガンゼフォート:大規模水力をも含めている。現在は4~5%が再生可能エネルギー。水力はそのうち50%。風力は非常に伸びている。太陽光は1%。バイオマスはガス・固体・液状の三種類あるが大きな成長が期待されている。

現在、省エネ推進の一環として、新築家屋への断熱材採用を推進するための補助金制度を大蔵大臣に働きかけている。今のところ大臣は反対しているが。エネルギー問題は、ドイツ一国で解決するのは難しい。ウクライナ等から原子力発電による電力輸入によりダンピングの可能性も発生する。石炭問題は労働力確保の問題であり非常に悩ましい。石炭はエコロジーの点で問題が多いにもかかわらずだ。


加納:私は1973年以降、省エネと新エネルギー推進を一貫して主張している。IEAの省エネ委員会の副議長も務めたこともあり、省エネの重要性は全く同感である。さて、原子力について、SPDの反対の立場は理解。が、その果たしてきた役割−例えば石油からのエネルギーシフト、温室効果ガス抑制の点−は評価されるのか。それともしないのか。

ガンゼフォート:究極のところ、加納先生と私は同意見になると思うが,石油依存とは別の問題として、原子力を利用すること自体にリスクがある。地球温暖化問題を前提に原子力云々は第一の問題ではない。

加納:OECDでは総発電電力量に占める原子力比率は平均で24%,ドイツは30%。日本は36%、ベルギーは65%、フランスは75%である。一次エネルギーのことをおっしゃっているが、この事実は重い。さて、先ほどドイツの原子力は技術的に危険とおっしゃったが、何故今回の合意で「原子力の安全基準を維持する」「妨害無き安全を維持する」ことをうたったのか。危険ならばこの条項は削除すべきでは。

ガンゼフォート
:地球温暖化問題については産業だけではなく、輸送・民生も考慮しないといけない。安全性に関する加納先生のご指摘は非常に正しい。これだけリスクを抱えるものならばすぐにでも廃止しないといけないし、我々も矛盾を抱えている。が,産業界からの賠償金問題は非常に厳しいものがある。政治とは妥協の産物。我々は安全面に関して妥協するつもりはない。そこで「安全面で問題あり」と判断した場合は、その持分(残余発電電力量)を安全な発電所にシフトすることにした。

加納:バックエンドを保証したとなっているが、これについては。

ガンゼフォート:暫時的ではあるが、中間貯蔵施設を原子力発電所敷地内、あるいはその近辺に作ることを決めたが、これは危険な輸送問題を解決するため。今後はそのための用地確保が問題化しよう。国内に廃棄物貯蔵施設にふさわしいところを探したい。岩塩層のゴアレーベンは個人的にも疑問を抱いている。花崗岩地域を探している。以前は永久処分を検討したが、現在は、例えば200年後に危険と判明した時点で取り出せるような仕組みを考えていきたい。

加納:2005年7月までは再処理が可能となればそれまで英仏への輸送は存在すると考えるが。

ガンゼフォート:そうだ。英仏とドイツ間には古い契約があり、今後はその返還時期が大きな問題になろう。デモ等が発生するであろう。

加納:今回の合意の日本語版では「2005年の7月以降は持出せない」とあるが、これは、それ以前に持出した使用済み燃料の再処理後のプルトニウム、又はMOX燃料、及びガラス固化体の廃棄物に関する返還輸送が、2005年7月以降も行われると考えるがこの理解で宜しいか。

ガンゼフォート
:加納先生の方がよくご存知だ。現段階は合意のみで詳細の議論は夏季休暇後になろう。我々はこの合意に際し、大きな犠牲を払っている。既存契約を守るために、搬送に関する現実問題に対して、国民を説得するという最大の作業が残っているためだ。

加納:ゴアレーベンについて、岩塩層に疑問があるとおっしゃったが、私は米国のカールズバッドで視察しその安全性は高く評価している。ガラス固化体ならば取り出す必要が無いと考えるが如何。

ガンゼフォート:9月4日にベルリンでHLWに関する国際会議が行われる。ゴアレーベンを選定したのは技術的理由ではなく政治的な決定。私自身もゴアレーベンのあるニーダザクセン州出身であるが、岩塩層は完全に安全性を有したものではない。そのために3〜10年のモラトリアムを施した。この間を利用して色々と方針を決めたい。

加納:3~10年間、具体的に何をするのか。

ガンゼフォート:岩塩が良いのか、花崗岩が良いのか調査し、花崗岩ならばバイエルン州だし、岩塩ならばニ−ダザクゼンだ。

加納:コンラッドについては。

ガンゼフォート:ご存知のようにコンラッドは中低レベル処分場。色々な意見があったが、個人的にはコンラッドもゴアレーベン同様適していないと思っている。

加納:原子力への賛成反対意見はあったとしても、廃棄物問題は現世代が考えるべき、というのが日本の国会でのコンセンサス。ドイツは次世代に委ねることを意味するのか。

ガンゼフォート:ドイツも現世代が責任を持つことを表明している。が、HLW発生量が非常に多く、その搬送は国民に対して理解を得にくい故、原子力発電の廃止を条件とした。次世代に最大の安全性を渡したいのは当然だ。HLWは長期間に渡りリスクが存在する。

加納:本日冒頭に、世界ではその実績が無いと言われたが,本年5月に私自身も視察したが、フィンランドのオルキルオトでは20対7で処分場建設を決定した。この事実については如何。

ガンゼフォート:それは岩塩層か。

加納:違う。

ガンゼフォート:その事実は知らなかったが、実際に見ないと何とも言えない。ゴアレーベンが適切地点であるかどうかは今後の検討が極めて必要。

加納:本日は貴重な時間をありがとう。原子力に対する見解は異なるものの、省エネや新エネルギーに対する見解では共通点も多い。感謝申し上げる。

ガンゼフォート:こちらこそ御礼申し上げる。日本から専門家の訪問をありがたく思っている。単に原子力を廃止するという個所だけでなく、幅広い意見を聞いていただき感謝している。日独のエネルギー政策の相互理解を進める意味でも今日のこの機会は非常に画期的だった。


以 上

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ドイツ緑の党ハンス・ジョセフ・フェル議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について
  日 時:2000年8月28日(月)15:00-16:30
場 所:連邦議会議員会館 フェル議員事務所
先 方:ドイツ緑の党ハンス・ジョセフ・フェル議員

※連邦議会持続可能なエネルギー供給調査特別委員会委員
※緑の党研究政策スポークスマン
※連邦議会教育研究委員会理事
当方:加納時男議員 松尾浩道 駐独一等書記官 市村健秘書(記録)

加納:今日はお目にかかれて嬉しい。

フェル:私は研究政策、特にエネルギー政策を中心に行っている。
又、再生可能エネルギーに関する立法化も現在検討している。


加納:今回の合意は成功とお考えか。

フェル:様々な意見があるが、反原発を強力に推進する一派としては、極めて不充分 な 合意と言わざるを得ない。一方、電力会社や保守的な政治家にとっては、極めて納得 できる合意だ。個人的な見解だが、原発廃止を推進してきた立場としては、良い妥協 策だと思っている。
その理由は、電力会社に強制することなく、一定の見通しを持た せてフェードアウトさせるスキームを構築できたこと。原発は今だに国から優遇措置 を受けており、国民生活に根付いた行動を採っているとは言い難い。例えば、事故が 発生しても、保険による補償は実際の損害額に見合ったものではない。放射性廃棄物 処理に関しては700億マルクをも準備する必要があるが、その積立は非課税措置だ。 こうした優遇措置を他産業に当てはめれば経済性は劇的に向上するはず。今回の合意 の具体的方策は今後議論するが、徐々にこうした優遇措置を見直す方向で検討した い。

加納:徐々にフェードアウトすることが賢明な策、という発言と理解。が、緑の党の 「すぐに廃止」という主張から見ると、今回の合意との間に乖離が見られるが。その 点に関しては如何。

フェル:その通りだ。早急の廃止という主張であったが,経済に与える影響を考える と、 この合意は妥協であり、現状では好ましいものと考える。

加納:私が理解する限りでは、緑の党は「脱原発を標榜」していた以上、今回の合意 により、時間はかかるにせよ、党としての使命を一つクリアしたと考えるが,次の目 標は?

フェル:緑の党の今後の目標は代替エネルギーの開発だ。再生可能エネルギーを推進 す ることだ。

加納:私も再生可能エネルギーを推進する立場であることを申し上げたい。再生可能 エネルギーと共に、原子力が必要という点がフェル議員と異なるかもしれないが。

フェル:先にトルコで「原子力を何故廃止するのか」という講演を行い、評価された の でその英文版をお渡ししたい。

加納:是非お見せ頂きたい。さて、先ほど「原子力は危険」とおっしゃったが、私の 理解ではドイツの原子力技術水準は非常に高い。今回の合意では「妨害無き運転」と なっているがその点については如何お考えか。

フェル:確かに技術水準は世界最高であろうが,原子力に関しては最高であったとし ても それでは不充分。放射性廃棄物処理の方法が未解決であることも問題。

加納:連邦政府は「バックエンドは保証する」と明定しているが如何お考えか。

フェル:最終処分場はまだ確保されていない。2005年6月末までは再処理を行うが,そ れ 以降は直接処分。ゴアレーベンについてはモラトリアムの対象となり、今後は他の地 域を探すことになる。

加納:ドイツの場合,リサイクルとワンススルーの双方を検討することになるが、ガ ラス固化体ならば岩塩層は最適と考えるが如何。私は本年初頭、米国カールズバッド の岩塩層を視察したが、既にTRU廃棄物処分を開始しており、安全に操業させてい る。地元住民にも受容されている。

フェル:時間的なスケールとして20年で良ければ岩塩層で問題あるまい。が、それ以 上 では岩塩層とて問題は多い。事実、ゴアレーベンの場合は透水が発見されている。米 国は1,000年以上もの間、透水を防げると考えているのか。一方、遠い将来に使用済 み燃料を取り出す可能性のあるワンススルーの場合、岩塩層では難しい。温度変化に より形状変化を伴うことになるからだ。

加納
:フィンランドのオルキルオトの最終処分場決定はどのように考えるか。

フェル:(それは知らない、といった表情で)研究したい。 加納:コンラッドについては如何。 フェル:10年間モラトリアムだ。中低レベル廃棄物であるが、現在研究結果を調査し て いるところ。最終処分場はどのようにあるべきかを科学的に追求したい。花崗岩がい いのか、水晶がいいのか、全てを検討したい。逆に日本について伺いたい。東海村事 故以降、原子力への反対意見が高まっていると聞いているが。

加納:反対意見があるのは事実であるが,その数は少数。先の衆院選挙でも、原子力 反対を標榜した議員も落選している。JCO事故以降、原子力のリスクと便益を述べる と共に、そのリスクをいかにコントロールするかを提唱してきた。政治家である以 上、立法措置も行った。確かに反対意見もあるが、新規原発建設も13基程度目途が たっているのも現実だ。必ずしも逆風ではない。 ところで、日/ユーラトム間で協定締結に関する交渉が行われているはずだが、一部 ドイツ政治家に「交渉をやめるべきだ」との意見もあると聞いた。緑の党としては如 何お考えか。


フェル:個人的見解であるが、日/ユーラトム協定締結は時代遅れだと思っている。 今後 は再生可能エネルギーの条約が必要だと思っている。

加納:日/ユーラトム交渉を止めるべきとのご意見か。

フェル:新しい原子炉を作る研究をすべきではない。ドイツの原子炉研究技術を海外 に 移転すべきである(注:意味不明)。

加納:私は原子力の分散型炉、即ち、小型で静的な原子炉開発を行うべきと考えてい る。核不拡散上有益であり、それを発展途上国に提供することが、ある意味では原子 力先進国の責務だと考えている。

フェル:原子力は不要だと思っている。再生可能エネルギーは無尽蔵だ。平和利用と 軍 事利用を完全に分離することは不可能である。それに原子力は高コストだ。ブラジル でドイツの原子力技術協力の下、原子炉を建設したが160億マルクかかってしまっ た。更に、ウランの埋蔵量は制限されている。40年位で枯渇するのではないか。プル トニウムを利用する高速増殖炉は世界各地で頓挫した。

加納:原子力に事故・核兵器拡散・廃棄物処理のリスクがあることは否定しないが、 メリットも沢山ある。例えば石油依存度を引き下げた、エネルギーセキュリティ向上 に貢献した、経済性が高い、温室効果ガスを発生させない等々。経済性が無ければ、 民間会社は13基も作ろうとはしないだろう。この議論を進めていけば一晩以上かかる であろうが(笑い)。 再生可能エネルギーの議論に移りたい。再生可能エネルギーの強みと弱みはどこにあ るとお考えか。

フェル:弱みはたった一つだ。それも中期的には克服できるが、工業生産に転換する に はコスト高であることだ。長所は沢山ある。二酸化炭素を放出しない。放射線が出な い。エネルギー密度が低いのは短所であるが、分散型電源として活用できる。高圧線 による送電も不要だし、原油輸送・核燃料輸送の必要も無い。多くの中小企業も参画 できる。従って雇用の創出に繋がる。化石燃料は埋蔵量に限りがあり、今後も資源を 巡っての戦いが頻発するであろうが、再生可能エネルギーであればそういった戦いは あり得ない。再生可能エネルギーの資源は地球上に無尽蔵だ。加えて、将来の目標と しては省エネ推進だ。発電時の廃熱を再利用するコジェネの推進も重要。

加納:再生可能エネルギーの定義は?私の理解では風力・太陽光・バイオマス・小水 力・地熱と考えるが。大規模水力を含めているのか。


フェル:私の定義と同じだ。が、大規模水力は入っている。

加納:ドイツの大規模水力の一次エネルギーに占める割合はどの程度か。将来はどの ように推移するか。

フェル:はっきり覚えていない。がかなり高いと思う… 加納:再生可能エネルギーを増やす手立てを伺いたい。具体的にはどのような計画で 行うのか。

フェル:一次エネルギー比で4%なのを2010年までに倍増させる。これはEUとしての 目 標値だ。ここに試案がある。2020年には原子力を全てフェードアウトさせ、2050年に は全一次エネルギーを再生可能エネルギーで賄うという画期的なものだ。 加納:これは誰の試案か? EU全体か?ドイツのみか?

フェル:勿論EU全体としてだ。

加納:2020年までにフランスが全廃するとは思えないが、誰が作成したのか。ドイツ 政府? それとも緑の党か。

フェル:ユーロソーラーというNGOが作成した。私を含め、緑の党の議員も一部参画 して いる。


加納:これは公式表明か?authorizeされたものか。 フェル:いや違う…(しばし沈黙) あくまで私案だ。EUが決定した目標は再生可能 エ ネルギーを2010年までに8%まで引き上げることだけだ… 加納:これから原子力法改正を行うと伺ったが,この審査には連邦参議院も参画する のか?(注:連邦参議院では、連立与党は過半数割れで苦境に立たされている) 

フェル:未定だ。我々としては連邦議会のみで審議したいと考えている。 加納:ドイツの場合、国家全体の利害調整は連邦議会が行うが,各州の個別利害に絡 む問題は、連邦参議院の意向も十分考慮すると認識している。

フェル:その通りだ。新エネ法制定の際、「連邦参議院は賛否表明の義務無し」との 条 項を設けたが、連邦参議院よりクレームをついたことがある。今回の原子力法改正 も、どうなるかわからない。が、連立与党としては、連邦参議院の審議は不要との立 場は崩さない。 加納:本日は御礼申し上げる。原子力については賛否が分かれたものの、新エネ,省 エネの重要性では見解の一致を見たと思っている。訪日の際は、議員会館にもお立ち 寄りいただきたい。

フェル:こちらこそわざわざの訪問を心より歓迎申し上げる。まだ理論的に煮詰まっ て いない点は多いが、今後とも情報交換をさせていただきたい。


以 上


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独キリスト教民主同盟クルトディッター・グリル議員との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について
  日 時:2000年8月29日(火)17:30-19:00
場 所:ドイツ連邦議会内レストラン
先 方:独キリスト教民主同盟クルトディッター・グリル議員※

※ 連邦議会持続可能なエネルギー供給調査特別委員会理事
※ 連邦議会環境・自然保護・原子力安全委員会理事
※ 連邦議会経済技術委員会委員
当方:加納時男議員 松尾浩道 駐独一等書記官 市村健秘書(記録)

加納:本日は貴重な時間を頂戴し恐縮。日本の新聞等では「今回の合意は現実的な妥協」との評価であるが、グリル議員の見解を伺いたい。

グリル:訪問を歓迎する。さて、私の選挙区はゴアレーベンのあるニーダザクセン州だ。20年間原子力を含めたエネルギー問題に携わってきた。合意がなされた当日(6/15)、ミュラー経済相は「10~20年後に原子力が復活する」とドイツ有力紙に述べた。個人的な分析では、今回の合意は一息つくための「休息の瞬間」だ。経済相は、シーメンス社がEPR(欧州型加圧水炉)開発を促進することに全く異議は無いとも述べている。シュレーダー首相は合意締結の一週間後、グライフスバルド発電所での記念式典に出席した。原子力に対する期待が無いわけではない。

独電力業界が合意をのんだ理由としては、今後妨害されること無く運転できることは魅力であったし、バックエンド対策も極めて現実的な合意だと考えたため。社民党ですら、ゴアレーベンを徐々にではあるが、否定する方向から見直す傾向にある。

野党CDUの見解では、問題は、現政権は気候変動に関する見解を一切示していないことだ。明朝、CDUのエネルギー政策に関する見解を発表するので後日お届けする。そのポイントは二つ。第一に原子力を重要視していること。特にHTGR(高温ガス炉)の開発だ。非常に関心がある。今後10年間は電力供給過剰が予測され,コジェネと共に、分散型電源としての期待が高い。HTGRの開発は重要だ。

第二番目には、エネルギー政策の進むべき道は太陽光開発であり、南欧、北アフリカと協同して30年間かけて開発したい。これは政治安定にも役立ち、太陽光発電所建設箇所としては、北アフリカが最適だ。

原子力が必要不可欠な電源であることに異論は全く無い。シーメンスはハナウ加工工場を建設したが、そのプラントをロシアに輸出する話が出ている。ロシアでMOX燃料を製造し、スイス等で使用する。


加納:2010年頃には原子力が復活するとのお話だが、今回の合意は明らかに原子力のフェードアウトを意味すると理解。となると社民党政権が近い将来変わることを示しているのか。

グリル:そうではなく若干複雑な話だ。1993年に私はCDU代表として、当時のシュレーダー社民党党首とエネルギー協議を行った。その時の印象として、現在首相であるシュレーダー氏は、原子力を否定する人物ではないということだ。シュレーダー首相は10年後に新型原子炉建設計画を承認するのではないかと思っている。というのは、現在操業中の原子力発電所のうち10~15基は、10年後には耐用年数切れを迎え、その頃には新型原子炉の開発論議が出ると予想されるからだ。シュレーダー首相の分かり難いながらも、その政治哲学を推測するに、将来を計算しながら今回の合意を行ったものと考える。

加納:SPDはもともと原子力を推進する立場であったが、チェルノブイリ以降方針転換したと理解。その結果が急進派の緑の党との連立。果たして、今後10年間に、SPDが再度政策転換を行えるかということに懐疑的だが…

グリル:SPDの将来のエネルギー政策の視点は、第一に地球温暖化の動向、第二に経済活動だ。いずれにせよ将来を予測することは難しい。

加納:二酸化炭素排出を削減するために原子力の果たす役割は大きい。ドイツの発電電力量の半分は石炭であるが、温室効果ガス対策としての石炭はどうなるのか。

グリル:CDUとして首相に二酸化炭素削減を質したいのであるが、その機会が与えられていない。将来の見通しとして、気候変動は劇的なテーマになると思うが、その際は、緑の党ですら、原子力の復活を主張するのではないかと思っている。信じられない話であろうが。

加納:連邦政府と州政府の関係を伺いたい。原子力の許認可は州政府が大きな権限を持っていると理解。今回、電力会社と連邦議会が合意したとしても、州政府の意向を無視することは出来ないと考えるが如何。

グリル:残念ながら無視できる。与党はエネルギー政策において、連邦参議院の意向を全く無視した。残念ながら、中間貯蔵施設を建設することについて、州政府は反対する法的根拠を持ち得ない。バイエルン州が反対するための法的手段は現時点ではない。

ところで、CDUは非常に厳しい状況にある。シュレーダー首相は党内左派の掌握に成功したが、CDUの場合は、コール元首相のスキャンダルを克服できないでいる。


加納:連邦参議院の参加無しに原子力法改正を行うことは可能なのか。

グリル:南ドイツのCDU同僚議員に、今回の州政府に対する扱いが違法でないことを説明するのに苦労している。RWEと連邦政府は、ヘッセン州政府を全く無視して、ビブリス原発のバックフィットに関して交渉を行った。

加納:今回の合意は「仮署名」だと理解しているが。法改正を伴うならば連邦議会で議論すべきと考えるが。

グリル:残念ながら違う。合意自体は連邦議会に諮る対象のものではない。今回の合意書は一つの約束がある。それは原子力法改正を行うことだ。


加納:日本の場合、法律を決めるのは国会議員で、衆参両議院が勿論関与する。ドイツも連邦参議院が関与すべきと考えるが。

グリル:連邦参議院は全く関与できないであろう。確かに立法権限は議会にあるが、今回の合意書は政府が連邦参議院の関与の機会を与えないことになっている。

加納:今回の合意は各州に大きな影響を与える。特に、中間貯蔵施設建設は州の利害関係に大きく関係するはず。州政府の代表たる連邦参議院に諮ることなく法改正を行うのは「憲法違反」として、CDUは訴訟を検討しないのか。

グリル:昨日連邦政府の鑑定?が出たが、中間貯蔵施設の許認可は州政府ではなく、連邦政府が関与。CDUが法的手段に訴える可能性は全く無い。

加納:憲法違反かどうかは最高裁判所の判断ではないのか。議会ではないはずだが。

グリル:その通りであるが、実はCDUが与党の頃、連邦参議院を無視して原子力法を改正したことが何度もある。その結果、こうした事態になった...

日本の原子力は将来どの方向に進むのか。高温ガス炉はどうなるのか。


加納:自民党は日本のエネルギー政策に責任を持っている。総合エネルギー政策の取りまとめを行った。自民党は「エネルギーセキュリティ」「環境適合性」「長期経済性」を追求するため、原子力の重要性を明定化している。高温ガス炉は現在R&Dの段階。ABWR等が将来の日本の原子力の担い手として期待されている。

グリル:日本のHTGRのR&Dの状況を知りたい。資料があれば頂きたい。9月13日にHTGR開発者と会うのでその際に話をしたい。

加納:了解した。CDUが原子力に積極的な姿勢を示してくれることに感謝。

グリル:こちらこそ。引き続き情報交換をお願いしたい。

以 上

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ドイツ原子力フォーラム・ルッツ・フライシャー広報局長との意見交換
テーマ:ドイツの「脱原発合意」について
  日 時:2000年8月29日(火)10:00-11:30
場 所:ドイツ原子力フォーラム
先 方:ルッツ・フライシャー広報局長
当 方:加納時男議員 松尾浩道 駐独一等書記官 市村健秘書(記録)

加納:本日はお時間を頂戴し恐縮。今回の合意は電力業界にとって「勝利」だったのか「敗北」か。

フライシャー:これは勝利ではない。受容できるぎりぎりの妥協だ。換言すれば強制的な妥協だ。現政権の方針は、一刻も早く原子力を廃止することに変わりない。原発の運転が困難となる各種施策を連立政権は今後も検討するに違いない。この事態は、連立政権が発足して以来、覚悟してきたことだ。が、政治によって原子力発電所の運転が阻害されることの無い合意を求めてきた。今までの総発電電力量と同量を今後も継続運転できることを望んでいる。今回の合意はあくまでも「仮合意」であって、引き続き粘り強く交渉し、その後に署名したい。

加納:私は政府と民間電力会社間の署名のコピーを見たが,これは合意を意味するのではないのか。

フライシャー:この合意書は今後詳細まで取り決めなければいけない。詳細部分は特別作業部会で行う。今回の合意書はあくまでも事務次官レベル。最終的な合意書は大臣、あるいは首相の署名だ。その意味では今回のものは「仮署名」。これは重要な点で、今後我々は要求を積み上げて合意したいと考える。

加納:どのようなところを今後の正式合意に反映させたいのか。

フライシャー:重要なのはバックエンド問題。その中でも輸送問題だ。トリッティン環境大臣(緑の党)は輸送反対を実力行使した人物(輸送ルートにダイインした)であり、こうした人達と今後協議することは大変な作業だ。

加納:その件で昨日面白い話があった。SPDのガンゼフォート議員、緑の党のフェル議員共に「輸送への国民の強い反対があった」と主張している。特にフェル議員曰く「輸送ほど危険を伴うものは無い」。輸送はできないと言わんばかり。が、今回の合意ではバックエンドを保証している上、2005年7月までは再処理を認めている以上、再処理後の廃棄物やプルトニウム等の輸送が実施されるはず。バックエンドを保証することは、即ちそれに伴う輸送を認めたことを意味しないか。となればはっきりと輸送を許可すべきは当然のことと考えるが如何。

フライシャー:国民が輸送に反対している事実に対する調査結果は一切無い。かつて輸送に関する強硬な反対運動があったが、それを主導したのは緑の党だ。例えばゴアレーベン中間貯蔵施設への搬送経路への妨害活動など。現状では線路でのダイインといった事象はないが、反対派のターゲットが搬送経路での妨害活動に特化しているのは事実だ。輸送の危険性は、環境庁及び放射線防護庁の調査結果によれば、人間に有害ではないとの報告がなされている。この研究結果は先週末にでたもの。私自身まだ見ていないが、近々インターネットに掲載される予定。原子力安全協会のHPでも閲覧可能だ。2005年までの再処理の可能性は勿論あるし、フランスのラアーグ、英国のセラフィールドに搬送予定だ。再処理後の核分裂性生成物は、今後も10年以上にわたって搬送されよう。

加納:調査報告書の話は極めて有益な情報。HPを閲覧したい。昨日、ガンゼフォート議員は「輸送に反対するから中間貯蔵を行う」と話していたが、これは論理矛盾。バックエンドを保証する以上、輸送は引き続き行われるものと考える。

フライシャー:原発の操業も中間貯蔵施設での保存も、国民の目には見えない。問題は輸送だ。これは目に見える。国民も作業を監視できる。従って、輸送は反対表明の最高の機会となる。人々を扇動するのに十分の機会。政府は輸送回数を極力減らそうとしている。中間貯蔵に伴う輸送は避けて通れない。まとめてパッケージで輸送したい。回数は減らしたい。ラアーグからゴアレーベンに搬送する際に大きな困難が予想されよう。仏独間には再処理に関する契約は存在し、それを履行することが大事。

加納:焦点がはっきりしてきた。今回の「仮合意」以降、今後の「正式合意」に向けての争点は「輸送問題」ということか。

フライシャー:その通りだ。我々は今日まで、中間貯蔵にせよ最終処分にせよ、それは一箇所に集中させるべきと考えてきた。それがゴアレーベンだった。ゴアレーベンは、今回の「仮合意」で技術的には問題無しとの結果を示されたものの、政治的には問題ありと判断が下された。もう一つの処分場候補地はアーハウス。が、政府は今回の決定により、輸送の困難さを解消するため、中間貯蔵施設を発電所内あるいは近郊に更に建設する事を決定した。ゴアレーベンとアーハウスが存在するにもかかわらずだ。となれば、輸送問題と同様、今後のもう一つの大きな問題は、原子力発電所を持つ地域住民対策である。原子力立地地域州の反対は大きな流れを生むであろう。輸送と容器そのものは安全だ。これは周知の事実。その上、原発立地地域住民は原発そのものに反対していない。問題は、中間貯蔵施設そのものに強硬に反対していることだ。

加納:それはなぜか。中間貯蔵施設が最終処分場になるとの懸念からか。

フライシャー:その通りだ。地元住民は原発を容認している。むしろ雇用創出・地域振興等で歓迎している。が最終処分場への懸念は根強い。

加納:連邦政府と州政府の利害関係について。今回の合意は原子力法改正という立法化措置により具体化しよう。これには連邦参議院の参加を求めるのか、それとも連邦議会のみの審議となるのか。

フライシャー:これは政治判断だ。政府としては連邦参議院がコミットしないよう働きかけるであろうが、個人的見解では州政府がかなりの発言権を有するべきだと思っている。

加納:私の解釈では州の利害に直結する事項は、当然ながら当該州政府とその代表者の集合体である連邦参議院の意向を汲むべきと考える。それが妥当な判断だと思うが如何。

フライシャー:加納先生のおっしゃる方向で州政府はコミットを望むであろう。これは紙一重の話で、州に同意を求めるべきか、それとも無視すべきかは法律家の更なる検討を要する。

加納:今回の合意は、例えばCDU(キリスト教民主同盟)が政権復帰したら破棄されるとお考えか。

フライシャー:CDU内部では、政権復帰の暁には、この仮合意を大幅に変更すべき,との意見があるのは事実。が、次期選挙は二年後だし、CDUは現在国民の支持を受けていない。CDU及びFDP(自由民主党:野党)は、原子力発電の有用性、特に温室効果ガス削減への貢献等を主張しているが、現政権は聞く耳を持っていない。

加納:政府では新エネ・省エネに対する大きな期待があるようだ。これに関しての見解は。新エネはどのように評価されるか。

フライシャー:再生可能エネルギーは、余りにもコスト高であること、環境に左右されることが問題だ。現在、電力消費量の4%を占めているが、2005年には最高のシナリオで8%くらいにはなるかもしれない。それでも残りの90%近くは他の方法により発電する必要がある。再生可能エネルギー促進法では、太陽光99ペニッヒ/kWh、風力17.8ペニッヒ/kWh、バイオマス17〜18ペニッヒ/kWh、小規模水力14ペニッヒ/kWhでの電力会社の買取価格を規定している。

加納:電力会社は買い取り義務を課されているのか。

フライシャー:そうだ。義務付けだ。

加納:この法律は2000年4月1日施行となっているがそれ以前は。

フライシャー:以前はもっと低い価格だった。

加納:日本でもこの議論は紹介されている。再生可能エネルギーの買い取り義務を主張する国会議員・有識者は日本にもいるが、私はこれには真っ向から反対している。

フライシャー:この法律があっても、2010年にはせいぜい10%程度の再生可能エネルギーであろう。が、残りの90%近くは石炭と原子力だ。再生可能エネルギーが原子力の代替エネルギーにはなり得ないのは明らか。

加納:同感だ。私は自民党のエネルギー総合政策小委員会の事務局長を務めているが、先に再生可能エネルギーに関する取りまとめを行った。そこでは、再生可能エネルギーは推進するものの,原子力の代替にはなり得ず補完的な位置付けであること。電力会社の自主的な取組を支持し、強制的買取義務には反対すること、を明定した。

フライシャー:おっしゃる通りだ。ドイツでも市場の自由化には大きな代償を払っているが、これが正しい方向性であることは誰も確信が無い。

加納:ドイツの原子力は非常に高い技術水準を維持していると思う。今後、ドイツの原子力に更なる発展の可能性はあるのか。ドイツの原子力に明日はあるのか、あるとしたらその条件は。

フライシャー:現在の政権が続く限り、独原子力に将来はない。彼らが現実を直視し、夢から醒めて方針転換してくれることを願う。例えばスウェーデン。原発廃止を主張するも、二基目の廃炉は中止した。これは温室効果ガスの問題に直面したためだ。現実に原子力の代替は極めて困難であることを、身をもって知ったからだ。

現政権のうち、SPD(社会民主党:与党第一党)はともかく、緑の党は現実的な考え方を一切持ち合わせていない。夢を見ている。しかしながら、緑の党の支持率は6%だけ。ドイツでは有効投票数の5%以上の支持が無ければ議席を占めることは出来ないとする規定がある。現在、緑の党支持率は低下傾向にある。政権からの脱落もありうる。


加納:欧州、特にドイツはチェルノブイリがトラウマになって、原子力アレルギーが存在すると実感するが,これはドイツ国民の一般的な感情か、それともEU国民全体の感情か。

フライシャー:ドイツ人はリスクに関して恐れを抱いている国民だ。特に、自らコントロールできない他人原因のリスクに対しては非常に敏感。自らリスクを取ること、例えばダイビングやパラセーリングといったことには躊躇しないが、制御する手段の無いものには極めてナーバス。ドイツ人に「何を恐れるか」と聞けば「失職すること。健康を害すること。家族を失うこと。等々のあと8番目に原子力」となる。「何故原子力を恐れるのか」と聞くと「限りなくゼロに近いとしても、チェルノブイリのようなことが起こる可能性があるから」と答える。私自身、チェルノブイリ事故当時はハイデルベルグに住んでいた。怖くて庭に植わっていた野菜は全部捨てたが、国境近くの隣町の野菜は買っていた。矛盾した行動であるが、これもドイツ人の一面だ。

加納:本日は心より御礼申し上げる。

フライシャー:何かご質問があれば今後とも引き続き情報交換の継続をお願いしたい。


以 上

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